僕はときどき思うんじゃ。お祖父ちゃんがお父さんだったらよかったのに、って。(本文より)
中学入試ではほぼ見ない作家の9月の本。
エモさも驚きも抜群のストーリーだった。
これはもの凄いポテンシャルがあるわ~。
描かれるのは窯元育ちの少年の成長だよ。
親に愛される実感を得られない主人公の
底知れない葛藤が胸に刺さりまくるんだ。
しかも素材文適性がメチャメチャ高いの。
特に主人公の学生時代はネタの宝庫だわ。
問題に使えそうな箇所の例(一部)
〇転校生の言葉に熱くなる小6の帰り道
◎少女に打ち明ける苦悩と交わした約束
△教室で他の親子とのちがいにモヤモヤ
△自分のことで言い争う家族に傷つく日
◎自己嫌悪の中学生への真摯な言葉がけ
△生育環境の違いによりすれ違うふたり
◎進路話で思わぬ相手に背中を押される
ただし、前作もそうなんだけど作問者が
このお宝に辿り着けるかどうかは未知数。
ぜひ見つけて欲しいところなんだけどな。
岡山無警報空襲や陶芸家が手榴弾作りに
かり出された戦時中の話など学びも豊富。
小学生に見せるか少し迷う場面もあるが
格調高い描写だし俺はOKだと思ったよ。
難易度は難しいので読書上級者向けかな。
以下、俺の思いを託したレビューになる。
自分の人生を生きろ!という訴えが脳の奥にまで響いてくる物語でした。
主人公は人間国宝の窯元で育てられた少年。
特異な家族関係の中でもがく彼が、苦しみ抜いた末に、心からやりたいことに目覚めていくストーリーです。
陶芸の道に取り憑かれた一族の業に圧倒されっぱなしでした。
わかり合えない家族の背景や、命の危機にまつわる描写には、切なさに染まる思いでしたね。
煮詰まった少年の背中をときに優しくときに厳しく押してくれる映像作家の真心は、私にも刺さりに刺さりました。
葛藤に囚われ踏ん切りがつかなかった主人公の心に火が入り、前進から加速へと変貌するさまも凄いんです。
感じたのは唯一無二の熱量。
冷え切った心さえとかす物語の力を、私も確かに受け止めました。

君を成長させてくれるのは優しく沁み込んでくる言葉じゃなくて、疑問を持った言葉、違和感を覚えた言葉、もっと言うと君を不快にし、苛立たせる言葉だよ。(本文より)