中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

支持率は限界突破『ジンが願いをかなえてくれない』(行成 薫)

知ってます?動物園の動物って、野生動物よりも寿命が短いらしいすよ。(本文より)

 

中受界隈では手垢のついていない著者の

ぶっ刺さる短編がギュッと詰まった本だ。

 

この作品は季刊飛ぶ教室紹介本でもある。

 

SFチックなのは2編であとは現実路線。

心の底から楽しめるアンソロジーだった。

 

出典予想ランキングでは94位にするが

負い目や引け目、後悔に苦しむ主人公に

共感できすぎて俺の支持率は限界突破だ

 

特に『妻への言葉が見つからない』は神。

 

難易度分類はやや難だけど最初と最後の

短編は子どもの視点が入って読みやすい。

 

推し素材は『パパは野球が下手すぎる』

エースで4番の小5男子と不器用な父の

想像を超えたコミュニケーションがいい。

 

俺のレビューはかな~り羽目を外したよ。

 

葛藤まみれの主人公たちがのたうち回って辿り着く境地。

魔人に出会う高校生の短編から始まりますが、全体では現実路線、大人視点の話が多め。

あまりに刺さりすぎて「これ以上感動さすな、ボケ!」と悪態をつきそうになったのは通信添削の男を描いた話。

終盤の決意に至る過程にありえないほど惹かれました。

もう感涙必至。

異色の展開に夢中になったのは推し活の話。

想像力の爆走ぶりが面白い!

ダンスおじさんには共感があり、幅跳び女子にはハラハラMAX。

さらに、野球少年と父のぎこちない関わりでトドメを刺された!

 

『ジンが願いをかなえてくれない』感想・レビュー

 

夢中になれる短編集(2024/5発売)

 

何か一文、たった一言でもいいから、本人の中から湧き出してきた言葉を埋めなければ、この手紙は書く意味がない。(本文より)