この学校に来てから架月はいきなりクラスのうちの一人として学級の当事者になった。お客みたいな特別扱いが終わったんだ。(本文より)
あと2週間ほどで書店に並ぶ作品ですわ。
学園ミステリ大賞の受賞作ってことだが
そこから想像する内容とは別物なんだな。
これは選考委員達をざわつかせただろう。
とはいえ読んじまえば選ばざるを得ない。
そんだけ新しさと熱量の高さがあったよ。
中学では問題児でしかなかった子たちの
特別支援学校の中での青春を描いた話だ。
いままで想像できなかった世界を近くに
感じられるようになるストーリーだった。
子ども視点の話プラス教師視点のパート、
さらに出身校からの引継書まであるので
一人ひとりの輪郭がクリアになっていく。
特質への周囲の理解度や環境の重要さが
魂を込めた文章に乗って響いてくるよ~。
文章のレベル感はやや難といったところ。
出版社にはこんなレビューを送信済みだ。
学園ミステリという枠におさまりきらない大作。
丁寧に描かないと伝えきれない心情を見事に掬い上げた作品でした。
主人公は特別支援学校の新入生です。
まったく空気を読めないことで、さまざまな困り感を抱えていた彼が、ユニークな仲間や熱意ある教員との関わりのなかで小さな気づきを重ねます。
繊細でこだわりの強い高校生たちの、ちょっとどころでない特別な日々に、むんずと引っ張り込まれました。
なんて没入感。
とくに自己肯定感ボロボロの子が誇らしさを感じる場面にはヤラレタッ!
感情移入させられすぎて、彼らのほんの些細な成長でも、このうえなく尊いものに感じましたよ。
迫真のストーリーゆえに、生徒たちの青春が脆さや危うさと背中合わせであることも思い知りました。
仲間や理解ある大人に囲まれた「優しい世界」はいつか終わってしまう。
その先にある、描かれなかった未来に思いを馳せるとき、胸が苦しくなるのは私だけでしょうか?
やはり、だれもが生きがいを見つけ、誇りをもって過ごせるような社会を目指さないといけないと痛感しました。