誰もが認めるような新しい目標がなければ、あきらめることは許されない気がしていた。(『おまえレベルの話はしてない(大島)』の本文より)
頻出作家の短編を含む来月9日発売の本。
将棋を題材にした珠玉のアンソロジーだ。
そのラインナップは以下の通りですわ~。
『授かり物』(青山 美智子)
『マルチンゲールの罠』(葉真中 顕)
『誰も読めない』(白井 智之)
『なれなかった人』(橋本 長道)
『王手馬取り』(貴志 祐介)
『おまえレベルの話はしてない(大島)』(芦沢 央)
『女の闘い』(綾崎 隼)
『桂跳ね』(奥泉 光)
青山先生の家族愛の短編を熱烈に読んで
あとは軽い気持ちでと思ってたんだけど
最後までたっぷり楽しめる作品だったよ。
2つ目の話のハラハラ感なんて半端ない。
凄腕の大人と12歳の勝負が激熱なんだ。
3つ目はいきなりのミステリ要素に驚愕、
4つ目は対照的な人生が共感させまくり、
5つ目には思わぬ真相の中に学びがある。
6つ目はお仕事小説としても魅力が溢れ、
8つ目は難読で戸惑ったが後からジワる。
まぁ、こんな感じで実に多彩なんだな~。
だから多分抱きしめたくなる話に会える。
俺の特推しは青春小説『女の闘い』だよ。
7つ目のこの作品は20歳の奨励会員が
優れた後輩との関わりで影響を受ける話。
この『女の闘い』は素材文適性も高めだ。
たぶん青山先生の話にも引けを取らない。
東大の学食パートや、対局中のトラブル、
後半の3人の交流は問題文にいいかも?
難易度は『授かり物』『女の闘い』のみ
やや難であとの6編は難しいになるかな。
以下、俺のレビューから少し引用したよ。
まさに夢のような一冊。
あぁ、魂が宿るってこういうことなんだな、と実感しました。
将棋がテーマの作品集ですが、全くの素人の私でも夢中にさせてくれましたよ。
伝わってきたのは年代も立場もさまざまな人々の真剣な想い。
彼らの熱意にほだされ、葛藤に共感し、優しさに癒されました。
実は一人の先生だけが目当てで手にしたのですが、全編にわたり圧倒されっぱなしでしたよ。
新たな作家を発掘できるのもこういう企画の魅力ですが、推しの先生が増えすぎて嬉しい悲鳴を上げそうです。
どの作品も素晴らしいのですが、楽しさという点では『女の闘い』を推しますね。
毒のある言葉を浴びて傷ついても立ち上がり、迷いを抱えながら突き進む主人公の魅力。
これが凄いんです!
そこに純粋な少年や、口さがない善人が絶妙な形で関わるから、どんどんページが進みましたよ。
しかも読者の気持ちをフワリと上げてくれるラスト。
この物語の続き、出ないですかね?

子どもの頃から、何度も、何度も、揶揄されてきた。お前が、女が、棋士になれるわけがないと、嘲笑されてきた。(『女の闘い』の本文より)