中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

思わず声援を送りたくなる『リカバリー・カバヒコ』(青山 美智子)

でも順位なんてさ、いつだって、狭い世界でのことだよ。(本文より)

 

入試頻出作家の9月に発売された新作だ。

 

都市伝説に心を動かされる人々を描くが

SFチックな話ではまったくないんだな。

 

素材にする際の妨げになる要素はないし

第一話と第四話なんて特に使いやすそう。

 

第一話は名門校に入り自信を失った子が

級友との交流で自分を見つめ直す話だよ。

 

第四話は駅伝から逃れたい小4男子の話。

これも級友が重要な役割を果たすんだな。

 

どちらも少年の成長ぶりがいい感じだわ。

素材文適性は第一話◎、第四話〇な感じ。

 

注目シーン6選

第一話『奏斗の頭』

公園での出会い。テスト返却日のまさか。

父の感情への気づき。自省、そして決意。

第四話『勇哉の足』

級友の強さを知る瞬間。駅伝当日の椿事。

 

まぁ、めちゃ面白い上に読みやすいから

出題とか関係なしに猛烈に推したい本だ。

 

俺のレビューの一部はこんな感じっすよ。

 

重層的な伏線が美しいまでに活かされていくストーリー展開。この興奮は、スポーツで鮮やかな連続技が決まる場面を目撃するのに似ていて、物語を楽しみながら、華麗なテクニックにも魅了されましたね。超常的な力でお悩み解決みたいな話は苦手、などと思っていた私は大馬鹿者でした。

 

『リカバリー・カバヒコ』感想・レビュー

 

登場人物のさりげないリンクも嬉しい(2023/9発売)