「美しいものが、アメリカの匂いがするというだけで排撃される世の中なんて、狂っています。私は狂っている世の中に合わせるつもりはありません」(本文より)
今年の桜蔭は大人向け重厚作品だったな。
これはサレジオ学院でも使われていたよ。
さっそく読んでみたが小学生は超上級の
読書力がないと序盤で挫折しそうな印象。
それだけ大正から戦間期の描写は難しい。
大人としては十分に楽しめるんだけどな。
六章の男子高校生視点で始まる章などは
舞台が戦後だし割と取っつき易そうかな。
桜蔭で使われた箇所とは違うんだけどよ、
三章と六章に素材文適性がありそうだわ。
特に三章のずっと憧れてたセーラー服を
初めて着る日の話はそれが学校制服だと
かなりのエモ選書になりそうな感じだよ。
六章の喫茶店のシーンでセーラー服への
あこがれが話題になるパートも同様だな。
しかし戦時下に制服が統一されてたとは
この作品を読むまで全く知らなかったわ。
まぁ、こんなんよりもっと驚きに満ちた
知見に溢れている荘厳な作品なのが本書。
俺のレビューの一部を以下に引用しとく。
血縁を超えた人の繋がりや全力で挑戦することの尊さが、読者の人生にまで働きかけてくる逸品。
色弱で差別された男がジーンズの藍色に魅せられる物語です。彼の溢れんばかりの情熱は、世代を越えて受け継がれ、ついにはある偉業へと繋がっていきます。
時代背景を映した狂気や、震災シーンのリアリティが圧倒的な臨場感で胸に迫りますね。