中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

闇堕ちしないための妙薬『苺飴には毒がある』(砂村 かいり)

どす黒い感情に巻き込まれたくない。その気持ちを手放したら、人間として何かが終わってしまう気がする。(本文より)

 

たぶん出題実績のない作家の11月の本。

中受界隈では誰も注目してなさそうだわ。


友のハラスメントっていう異色テーマで

入試向けには選びにくそうではあるけど

なかなかどうして、これが面白いんだよ


それでいて、道徳的な良本では扱わない

生きていくうえで必要な知恵が得られる。


頑張ればわかりあえるって価値観なんて

時としてクソの役にも立たないだとかな。


毒をまき散らしまくる幼馴染が邪魔だし

素材文には多分しにくいが強いて使える

かもしれない箇所を以下に挙げてみたよ。


微妙に狙い目っぽいくだり

△中学時代のライバルに遭遇して進路話

△真面目な子が奉仕活動に勧誘してくる

 

あとは文芸部パートがまっとうで良さげ。

 

反面教師としての学びが尊いこの一冊に

俺が書いたレビューの要約版は以下だよ。


この毒は薬。

教科書的な作品からは得られない学びがあると感じました。

主人公は勉強だけがとりえと自覚する高校生。

幼馴染から折に触れ悪意を向けられ続けてきた彼女が、過酷な日々の中で限界を感じ、その心に芽生えた願望をかなえようとします。

どす黒い感情に溺れ、人として大切なものを失くした者を客観視する読書体験は、自分を律する上でも役立ちそうですね。

いわれなき悪意にさらされたことのある人には、特に響く作品だと思いますよ。

 

『苺飴には毒がある』感想・レビュー

 

文芸部の活動を描く部分は清廉(2023/11発売)