「本当は誰にも迷惑なんてかけたくないよ、私だって」(本文より)
『カラフル』といえば森絵都先生だけど
今回紹介するのは阿部暁子先生の新作だ。
この先生は『パラ・スター』が頻出だな。
今作は車いすユーザーの少女に出会った
高1男子の意識が新生活の中で変化する。
ヒトコトでいえばこんなストーリーだよ。
サラッと書いたがかなり考えさせられる
深みもある物語だからぜひ見て欲しいな。
テーマ注目度、素材文適性はともに◎だ。
希少な優良素材なのは間違いないんだが
児童書ではなく一般文芸カテゴリだから
ちょ~っと埋もれやすいような気もする。
何せ書店の一般文芸棚は生存競争が苛烈。
かなり探求心のある問題作成者でないと
この作品は発掘できないんじゃないかな。
全四章だが全ての章に使える箇所はある。
特に一章の委員決めの帰り道パートとか
二章のなくした夢を語り合うパートとか
四章の差別ネタで荒れるパートがいいよ。
二章の体育パートは〇、三章では少女の
感情がこぼれ出るパートなどが△な印象。
ほかにも国語素材にいい箇所はありそう。
地方の進学校の青春を描いたこの小説は
例の分類で文章難易度が「やや難」相当。
俺のレビューのカケラは以下の通りっす。
「これを個性とは言わないでほしい」という吐露など、車いすユーザーの心情にはハッとさせられる瞬間が幾度もありました。
主人公は高校に入学したばかりの少年。
夢破れ意欲を失くしていた彼が、凛々しく、超然と生きる少女との出会いに刺激を受け、生きる喜びに目覚めていきます。