過疎自慢のサイトからひっそりお知らせ。
作品の優劣ではなく出題者が選びそうか。
この点のみで順位付けしたリストが以下。
全てここでレビューを書いた作品たちだ。
表の説明はちょっと真面目に書いてみる。
私の勘で選んだ出題者に好まれそうな今期の作品群です。昨年作った前期版では1~25位の中学入試への採用率が約8割、26~50位で2割弱でした。
今回も、ランキング上位には国語科のベテラン教諭が好みそうな「教科書っぽい要素を含んだ作品」をズラリと並べました。
一方、下位には若い読者層の感性に寄り添った「弾けるような魅力の作品」が多くなっています。
素材文の選定には、発売時期も重要な要素になります。このため、一部の学校が選書を終えている可能性が高い7月下旬から8月にかけての新作は、あえて低い順位にするような操作を入れています。
その結果、『波あとが白く輝いている』(蒼沼 洋人)、『かたばみ』(木内 昇)、『夜空にひらく』(いとう みく)、『ひとっこひとり』(東 直子)、『リラの花咲くけものみち』(藤岡 陽子)などは内容的には出題の有力候補ですが、発売日のために10位~20位ほど順位が低くなりました。
表の見方に関して、【難易度】は1が「難しい」で大人向け、2は「やや難しい」で中高生向け、3は「普通」で小中学生向け、4は「易しい」で同じく小中学生向けですが、より敷居の低い作品という分類です。
【作家頻出度】は、近年の中学入試でどれだけ使われているかを、私が知る範囲で分類したもので、それほど厳密なものではありません。ただ、この項目で無印だと、文学賞の受賞などの特別なことがない限り、以下の2項目でも丸印がつきにくくしてあります。
【テーマ注目度】は、紹介した本で注目に値しないテーマの本などないのですが、入試への出題を念頭に置いた場合にどうなのかという視点で判断しています。挑戦的な作品は非常に面白いものの、ここでは無印としているケースが多いです。
【素材文適性】は、国語の入試素材として扱いやすいかどうかという視点でみています。
注目作とはいえ、読書慣れしていない子にいきなり1位の『この夏の星を見る』(辻村 深月)を渡しても、すぐ挫折するでしょう。そういう子には「易しい」作品群から読み始めて、徐々にレベルアップしていくルートがお薦めです。
『おはようの声』(おおきやなぎ ちか)、『エツコさん』(昼田 弥子)、 『どすこい!』(森埜 こみち)などはこの表では順位が低いですが、3・4年生あたりの子に優良図書を薦める企画なら間違いなく上位に入ります。
最下位の『白ゆき紅ばら』(寺地 はるな)は、オトナ視点では震えるほど魅力たっぷりの作品です。ただ、あまりに刺激的ゆえ入試に向かない印象なので、この順位となっています。
前年度の紹介作品ということで上記の表にはありませんが、『スクラッチ』(歌代 朔)が2023年読書感想文全国コンクールの課題図書になったことで脚光を浴びており、引き続き要注目です。
また、『おにのまつり』(天川 栄人)、『モノクロの夏に帰る』(額賀 澪)は、今年度の緑陰図書に選ばれており、昨年よりも注目度が上がっていると考えられます。
『空をこえて七星のかなた』(加納 朋子)も前年度紹介作品ですが、季刊『飛ぶ教室』で大きく扱った時期が2022年10月下旬なので、今期にその影響が出てくる可能性があります。
本屋大賞作品も見逃せません。8位になった『宙ごはん』(町田 その子)が引き続き要注目なのはもちろんのこと、2位の『ラブカは静かに弓を持つ』(安壇 美緒)も前述のコンクール課題図書になり、文学賞まで獲っているため作問者が意識しそうな気がします。
さて、今回リリースしたのは2024年入試向けの表ですが、本番まで半年を切っている6年生は、いまは本を読みふけっている場合ではありませんね。
勉強の合い間に、気晴らしで手に取るぐらいが丁度よいでしょう。
5年生以下なら、どんどん読んでOKなので、2023年版と併せて選書の参考にしてもらえたらと思います。
読書から得られる果実は多彩ですが、学力の面でも効き目があるようですよ。
それでは、親子でシアワセな読書時間をお過ごしください。
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