中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

際立って美しい心根『リラの花咲くけものみち』(藤岡 陽子)

十二歳で一度終わった自分の人生が、こんな広い道に続いていたことに身震いした。(本文より)

 

わりと入試に出る作家の7月発売の新作。

 

先週までタイトルに仮とついてたんだが

『リラの花咲くけものみちに正式決定。

 

『金の角持つ子どもたち』と似た語感だ。

 

母を亡くしただけでなくさらなる不幸に

見舞われた主人公が、祖母の助けにより

自分の人生を取り戻し、切り開いていく。

 

一言で言っちまうとこんな感じになるが

実際、もの凄い衝撃のストーリーですわ。

 

なにせリアリティがヤバすぎて、もうね、

いい場面も悪い場面も心に直に届く届く。

 

俺はお婆ちゃんの気高さに圧倒されたよ。

 

文章難易度は高めで出すなら難関中かな。

高校入試での採用も見込めそうなレベル。

 

以下、出版社に送ったレビューの全文だ。

 

なんとしても孫娘を守る。

 

決然とした祖母の姿に、覚悟に、生き様に、心を打たれずにはいられませんでした。

不器用でも、一生懸命に期待に応えようとする主人公も素敵でしたね。

 

獣医への道が、過酷な部分まで含め、生半可でなく掘り下げて描かれていて、息をのむようなリアリティには驚かされっぱなしでした。

 

特に衝撃だったのは、心が折れそうになったときのエピソード。

視覚、聴覚、嗅覚にまで訴えてくる臨場感には、こちらまで打ちのめされましたよ。

 

主人公に限らず、それぞれの心情を追体験できるのも魅力でしたね。

それだけ丁寧に、丁寧に、描かれていた印象。

 

だから、魅力ある人がやたらに多い!

 

特に、主人公が苦境に陥ったときに先生や先輩、同期からかけられる言葉には、心に響くものがたくさんありました。

 

ドン底から抜け出して、羽ばたこうとする主人公のあゆみは、私にも勇気を分けてくれた気がします。

 

心根の美しさが力にも癒しにもなる一冊。

多くの人に知って欲しいです。

 

期待を背に、前へ(7/20頃発売見込)