中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

賢く乗り切るための知恵『お母さんのためのはじめての中学受験必勝ガイド』(中曽根陽子ほか)

結果的に第一志望の学校には行かれなくても、子どもが元気に中学生活をスタートできれば、この勝負は「勝ち」なのです。(本文より)

 

「私たちが考える ”必勝” はちょっと違うのです。」と謳う指南本だ。

この本も少し古いが、使い物にならないネタは1割ってとこだな。

 

内容の2/3は初歩的なんで、判ってんなら読み飛ばしOK。

だが、ちゃんと読むとやっぱ光るトコもあるんだな。

 

志望校は親の誘導であっても子どもが選んだ形にってのは、

『中学受験を成功させる母親はここが違う!』でも書いてたな。

 

模試の偏差値が10動くのなんて当たり前ってところには癒されたぜ。

 

いい友達さえいれば子どもはどんな学校も喜んで通うってのは

言われてみれば、確かにそういうものかも知れねーよな?

 

睡眠を削ると成績が落ちるってのも大事なハナシだ。

サピックスも寝る時間減らすなって指導してるらしいぜ。

 

怒ると意欲が減るってのは肝に銘じねーといけないところだな。

ネガティブな言葉の連発は子どものやり気を削ぐからよ。

 

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『お母さんのためのはじめての中学受験必勝ガイド』(中曽根陽子ほか/メイツ出版)

 

受験生の弟・妹への接し方まで指南してるとこは

この本の特色だと言っていいだろうな。

 

なかなか勉強になるぜ!

女子中アリかも?って気にさせられる『金木犀とメテオラ』(安壇 美緒)

bookmeter.com

 

今年出題されるんじゃないかと騒がれていた作品だ。

サピックスの模試なんかでも使われてたようだぜ。

 

実際の入試に出たかどうかは現状ワカランが

楽しそうな女子校の雰囲気が味わえるし、

一読の価値アリだろうな?特に女子。

 

北海道の新設女子中から東大を目指す、

二人の”際立って目立つ少女”が主人公だ。

 

完璧を装うために死に物狂いでがんばる少女と、

強気な天才少女の仮面の下に隠された素顔ってのが

この作品の見どころだと言っていいだろうな。

 

親に恵まれなかった学園のツートップ。

2人の奇妙なライバル関係に注目だ。

 

宮田に後れを取らないために磨いてきた学力は、いつの間にか自分の人生を大きく変えていた。(本文より)

 

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金木犀とメテオラ』(安壇 美緒/集英社

 

新設の女子校が舞台っていやあ

『よろこびの歌』(宮下奈都)

面白いんで、要チェック、かもな!

偏差値20年推移(女子・上昇バージョン)

 

 女子の偏差値20年推移、

今度は上昇バージョンだ。

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四谷大塚 入試結果80偏差値(一部抜粋)

 

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『零から0へ』(まはら三桃/ポプラ社

 

「ギブミーチョコ」っていやぁ、

戦後、進駐軍兵士に子どもたちが

物をねだる場面を思い浮かべるよな?

 

あれって実は日本政府にカネを出させて

米兵が菓子を配る流れだったんだよな。

進駐軍のイメージアップのためによ。

 

ま、俺も最近知ったんだけどな!

 

偏差値20年推移(女子・下落バージョン)

明日、3月10日は東京大空襲の日だ。

 

卒業式のためにわざわざ疎開先から戻って

空襲で命を落とした子が大勢いたって話だぜ。

『子どもたちへ、今こそ伝える戦争』によるとな。

 

yukikaze.hateblo.jp

 

今はとりあえず爆弾が降ってくることもなさそうだが

やっぱ子どもたちのためにも、平和が一番だよな。

 

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さて、まったく話は変わっちまうんだが

偏差値の20年推移表を作ってみたわ。

使ったのは四谷大塚80%ラインだ。

 

中堅以上に絞り女子の偏差値が下げた

学校だけを拾ってみるとこんな感じだな。

 

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四谷大塚 入試結果80偏差値(一部抜粋)

 

男子や上昇バージョンは、またの機会にするぜ!

 

母と子の心理学ってところだ『中学受験を成功させる母親はここが違う!』(橋本 和彦)

アドラーのアの字も出てこないんだが、

アドラー心理学の要素を多く含んでる感じだ。

 

母親のタイプ別にアドバイスを分けてるところが

この本の最大の魅力であり、特徴でもあるぜ。

 

「自主性尊重タイプ」は特にあぶないんだと。

これは言い換えれば放任型になる感じだったが、

中学受験の失敗が一番多いのがこのタイプらしい。

 

「良妻賢母タイプ」はまじめ型と言い換えられそうだが

子どもに完璧さを求めず、結果ではなく過程を認める

褒めるのではなく認めることが大事って話だったな。

 

「愛情たっぷりタイプ」は甘やかし型に見えたが

勉強した結果をしっかり出せるようにしてあげるのが

本当の優しさだと考え方を改める必要があるって話だぜ。

 

全体に共通してたのは、いかにして子どもが自立して

勉強に取り組めるようにするかっていう話だな。

学習を把握しつつ離れて見守るのがベスト。

 

それが出来りゃー苦労しねーよって思うけどな。

 

そのひとことが子どもをつぶすってくだりは必見だな。

責め言葉をどう言い換えるかって部分も参考になったぜ。

 

あと気になったのは、家庭は円満の方が好ましいとか、

子どもの前では父親を立てておこうって話だな。

 

父親は頼りにならないと子どもに印象づけると、

期待される役割を果たせなくなり、結局のところ、

母親の負担がありえないほど重くなっちまうもんな。

 

正直、冒頭のあたりでは塾自慢がうっとうしく感じたが

親の気持ち、子の気持ちを踏まえた金言にあふれていたぜ。

 

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『中学受験を成功させる母親はここが違う!』(橋本 和彦/大和出版)

 

海陽中 で出題『しろいろの街の、その骨の体温の』(村田 沙耶香)

意外にあるパターンで、出題で使われた箇所は問題ないが

本自体には過激な描写を含んでるってケースがある。

 

この本もそうで、出題箇所はほのぼのだが

実際のところ、小学生には禁書だぜ。

 

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『しろいろの街の、その骨の体温の』(村田 沙耶香/朝日新聞出版)

 

小4の少女が幼い感じの同級生男子の

唇を奪うあたりから物語は疾走しだすんだ。

おとなしい主人公が豹変するシーンは驚愕モノだ。

 

中2になるとチューだけじゃすまなくなって

も~っとビックリすることがあるんだが、

まぁ、これ以上書くのはやめとくぜ。

 

主人公達の せいちょう 以外の見どころは、

スクールカーストの上と下の圧倒的格差だな。

学校の不自由を言い表した主人公の心情がこれだ。

 

道徳の教科書に何度正しいことを書かれても、私たちは教室を支配する力には逆らえない。(本文より)

 

悪いことにも同調したり見て見ぬフリをするしかない

教室の空気ってのはホラーより恐ろしいかもな。

 

子どもが読んじまったら、中学に行くのが

怖いって言い出すかも知れねー本だ。

 

文学としては美しいけどな!

 

bookmeter.com

勘で解くから不安定『中学入試国語のルール』(石原 千秋)

教育への支出は比較的リスクが少なく、割のいい投資だ。

こういう文脈の中で中学受験をとらえる必要があるそうだぜ。

 

あと気になったのは、教員志望の優秀な学生が公立中学校を

避ける傾向が、特に首都圏では顕著にあるっつう話だな。

教師は魅力ある職業じゃなくなっちまったのかもな。

 

さて、この本は受験を扱う著作が多い大学教授が

中学入試攻略のヒントをちりばめてくれてる作品だ。

目からウロコな入試問題のルールってのも結構あったぜ。

 

読解問題の特別なルールを知らずに、感性を頼りに自由に読むと、

小説の読み方としては正しいのに、マルが貰えない、とかな。

 

入試国語の目的は、ルールに従って答えを一つに決めること。そこで問われているのは、自分の気持ちではなくみんなの気持ちなのです。(本文より一部要約)

 

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『中学入試国語のルール』(石原 千秋/講談社

 

文章に出てくる親や教師は、原則いい親、いい先生というのも

知っておくと解答の際に有利に働くかもしれない知識だぜ。

 

確かに、親や先生に疑念を抱かせるような文章を

学校からのラブレターである入試には出しづらいわな。

これについては例外事例の話なんかもちゃんと書いてあるが。

 

まぁ何にせよ、2008年の出版ながら、結構役に立ちそうな本だぜ。