中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

敗者たちの気迫『俺たちの箱根駅伝』(池井戸 潤)

勝敗はどんなスポーツにもある。だが、勝者だけが輝くのではないはずだ。(本文より)

 

入試ではあまり見ない大物作家の最新作。

 

上下巻合わせ700ページには怯んだが、

頻出の駅伝モノなのでチェックしてみた。


『十二月の都大路上下ル』なども含めて

このテーマは今年も良く出ていたからよ。


駅伝を描いた作品の例

『あと少し、もう少し』(瀬尾 まいこ)

『タスキ彼方』(額賀 澪)

『風が強く吹いている』(三浦 しをん)

『駅伝ランナー』(佐藤 いつ子)

『白をつなぐ』(まはら 三桃)

『襷を、君に。』(蓮見 恭子)


結論から言うとシーンが次々に流れてく

下巻よりも問題文の素材に選ぶとしたら

人物の掘り下げが深い上巻が良さそうだ


素材文適性は7:3ぐらいで上巻が優位。


学生たちの意識のずれが噴出して荒れる

6章などは特に面白い問題が作れるかも。


ただ、大人向けで分厚いから読書好きで

ハイレベルな子でないと薦めにくいかな。

うちの受験生に手渡すかどうか迷うわ~。

 

なにせ普通の児童書5冊分のボリューム。

 

お仕事小説って側面も敷居を高くしてる。

これをちゃんと読めたらそれだけで凄い

 

箱根駅伝の未知の魅力に痺れまくる本作。

マイレビューの要約バージョンがこれだ。


箱根駅伝を競技サイドと放映サイドの両面から掘り下げたストーリー。

見返してやると誓う敗者の戦いぶりに光を当てる感動巨編です。

人物像がつまびらかに描かれることで、疾走がひときわ輝きますね。

元より注目されてこなかった連合チーム、寄せ集め集団を率いるのは指導の素人。

それでも目標は高く掲げ、バラバラな若者をまとめあげ、不可能を可能にする戦いに挑む。

これで熱くならなきゃ嘘ですって。

 

『俺たちの箱根駅伝 上』感想・レビュー

『俺たちの箱根駅伝 下』感想・レビュー

 

今期の出典予想では上巻20位程度、下巻35位程度になりそう。ただし気軽には勧められない難易度とボリューム。(2024/4発売)

 

失敗ってのはな、次につなげられるかどうかで、価値が決まるんだ。(本文より)