長年愛されてきた『つめたいよるに』等、
入試定番作品のある作家の期待の新作だ。
作問者がとりあえず手にしそうではある。
短編が3つ収録されているが素材文適性
という観点では2つに注目したいところ。
1話目の目立ちたくない小3女子の話は
この短編集の中で最注目になるだろうな。
とことん地味な彼女はある意味新鮮かも。
2話目は人間達とカラスの視点が混じる。
おそらく小学生は幻惑されるだろうから
初回はカラスパートを読みとばすといい。
それでも連作掌編集のように人間模様が
つながるし再読でカラス話も読めばOK。
この話は小学生男女の視点も含み適性△。
3話目は俺はグイグイ惹かれたんだけど
認知症の人視点の酔うほど揺らぐ心情は
中学入試では扱いにくいかもしれないな。
難易度は1話目がやや難であとは難しい。
俺のレビューの書き出しは以下のとおり。
淡々と描かれるなんでもない日常が不思議とじんわり沁みる三編。
描かれるのは三つの家を行き来する小三女子の毎日や、病院で交差する様々な人間模様、移住先のオランダで認知症になった女性の心象風景など。
キャラクターでは、出番が少ない中でも目立っていた、子どもみたいに自由闊達な女性に惹かれましたね。