陽キャにばっか愛想笑いして、自分がターゲットにされないように振る舞うだけで精一杯なんですよ。(最終話『まだあの場所にいる』の本文より)
入試では見ない作家の10月の新作だよ。
短編集で大人視点の話が多くて子供には
共感しづらいだろうな~とは思うんだが
ひとつ強烈に薦めたい話があったんだわ。
それがラストの『まだあの場所にいる』。
中高一貫校に転校してきた子の生き様が
きっと読む人の心をとらえて離さないよ。
不自然な程クラスに馴染み過ぎる少女が
騒動に巻き込まれてどうなるか要注目だ。
ラストシーンの躍動感があまりに強烈な
この短編は小学生にも刺さると思うな~。
あとは、子ども食堂に生きがいを感じる
大学生を描いた短編もオォ!となりそう。
素材文適性はさほどではないけど面白い。
連作短編集じゃないから子供が読むなら
一話目の大人女性と義母との関係の話は
すっ飛ばして最終話から読むのを薦める。
今回はお薦め短編のさわりを書いてみる。
主人公は自分に自信のない副担任。教師になって15年目の彼女でしたが、普通とは違った空気をまとう転校生に出会った日、ひそかに嫌悪感を抱いてしまいます。当初、冷めた目で見守っていただけのその少女は、いつしか・・・(以上、短編『まだあの場所にいる』のさわり)