十四歳だったわたしは自分のために、何もしないことを選んでしまった。(本文より)
カバーが作問者の目にとまりそうな新作。
25歳の看護師が中学生の頃に出会った
恩人との日々をある出来事をきっかけに
鮮烈に思い出すっていうストーリーだよ。
自分にまったく自信がなかった女の子が
先生の教えを大切にしながら生きつづけ
立派な女性になっていく流れがいいよ~。
描かれていたのは悲劇と胸アツの師弟愛。
俺は受容と共感がいかに大切か実感した。
ちょっとミステリ要素を含んでいるけど
上手く切り取れば素材文にもできそうだ。
大人編よりも悩める中学生編に注目かな。
文章の難易度は例の分類ではやや難相当。
俺が付けたレビューの一部はこんなだよ。
「ピアノは何も持ってない私の唯一の支え」
窮屈な師のもとでそう思い詰めていた少女が、尊敬できる師に巡り会い、心のくびきから解き放たれていきます。
不穏な空気を孕んだまま進むストーリーに絡めとられ、かじりつくように読み耽り、最後にはいい意味で打ちのめされました。
毎日毎日一緒に暮らしていく家族って、正論だけで成り立ってるわけじゃない。むしろ、そうじゃない言葉のほうが、必要なときが多いのかもしれない。(本文より)