中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

出題が予想される物語文『零から0へ』(まはら三桃)

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『零から0へ』(まはら三桃/ポプラ社

 

児童書だが青年が主人公で会社が舞台だ。

組織内部の対立なんかは少し難しいかもな。

とはいえ、まはら三桃の新作は見過ごせねー

 

今年の出題作家ランキングからは外れているが

引続き注目の先生であることに変わりないからよ。

 

この本はノンフィクション風のフィクションだ。

戦後の混乱期に国鉄の研究所に入った青年が

新幹線開発に情熱を傾けるって筋書きだぜ。

 

職場では軍の出身者と古参の技術者が、

当初対立するんだが、やがて力を合わせる。

“世界を驚かす平和な乗り物”を作るためにな。

 

技術優先の軍の出身者と安全優先の鉄道マンを

結びつけていく熱意と使命感に注目して欲しいぜ。

 

作中には受験生にピッタリな言葉なんかもあったぞ。

 

本気の人間にしか常識は破れない。(本文より)

 

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コソコソ噂話300連発『女子校育ち』(辛酸 なめ子)

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『女子校育ち』(辛酸 なめ子/筑摩書房

 

女子学院 出身の著者による、

首都圏の名門女子校リサーチ本だ。

300かどうかわからんが噂話が多いぜ。

 

さも仏の半眼のように悟り切った感じで、

身なりに構わないことに意固地な 桜蔭学園

プライドが肥えるリスクが漂う 東洋英和女学院

 

こんな感じに校名をバンバン挙げてくのが

この本の最大の魅力と言っていいぜ。

 

麻布 の学祭見学で女子の動向

見ていく企画も面白いな。

麻布生、破天荒すぎ。

 

恋愛事情の話題が多くて、

ナマナマしい表現も多いので、

小学生に見せるのは勧められねえ

 

参考になる話題も少なくなかったけどな。

 

異性と知り合う場所ナンバーワンは塾らしい。

放課後は塾で共学気分を味わえるから無問題だと。

 

女子校だと、男を見る目は養われないって声もあったが。

 

まぁ、何にせよ女子校にプラスイメージの多い本だ。

それは著者のあとがきのこんな声にも表れてるぜ。

 

小学校の頃、ひよわないじめられっ子だった私が、しぶとく生き延びられているのは、自由な女子校で培った生きる力のおかげです。(本文より)

 

情報が古いのがこの本の弱点だからよ

『女子校礼讃』の方も併読すると、

より事情通になれると思うぜ。

難しい時期をしなやかに『ハリネズミは月を見上げる』(あさの あつこ)

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ハリネズミは月を見上げる』(あさの あつこ/新潮社)

 

あさのあつこは最近は頻出リストから外れてるが

長いことよく主題され続けてきた作家なんで、

余力があれば目を通してもいいかもな。

 

主人公は不器用で大人しい少女と

大人が相手でも堂々と主張する少女。

 

わが道を往く感じの”堂々少女”の言動が

なかなか凄くて、もう目が離せない感じだぜ。

 

「先生たち、おかしいです。絶対に間違ってます」

 

こんなことも平気で言えちゃう彼女だったが、

実は誰にも言えない悩みを抱えてんだよな。

 

ま、気になったら読んでみるといいぜ。

 

難しい時期を、強く、しなやかに

生き抜く知恵が詰まった新作だ。

 

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たとえ、身のほど知らずでも『父と息子VS.母のお受験バトル』(ジャガー横田)

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『偏差値40台からの超難関中学への大挑戦 父と息子VS.母のお受験バトル』(ジャガー横田/祥伝社

5年の後半から受験勉強を始めたっていう

ジャガー横田んちの長男の中学受験体験記だ。

テレビ密着取材してたから見た人もいるかもな?

 

プロのサポートがフルに付いてどこまでやれるか

これが注目ポイントだが、状況が特殊すぎて、

参考にならねぇって意見も結構あるな。

 

父親が医者だし、インター通い長かったし

そもそも一般家庭はフルサポート無理だしな。

 

けど、偏差値40台で 広尾学園 っていう目標に

向かって努力する意義を語るジャガー横田

言葉ってのは、なかなかカッコ良かったぜ。

 

10を目指せば、10に届かなくても8とか9までいけるかもしれない。でも、5しかないからといって無難に6とか7を目指したら、目標達成したことに満足することはできても、自分の力をそれ以上に伸ばすことはないでしょう。だから私は、高いところを目指すのは悪いことではないと思います。(本文より)

 

「持ち偏差マイナス3あたりが適正校」っていう

俺の考えとは相容れないが、ジャガー横田みたいな

最大限に伸ばすんだっていう発想も確かに一理あるな。

 

これ以外にも結構ためになる言葉があったぜ。

手法より考え方が参考になる本かもな。

 

ちなみに、スッキリの密着の

ノッチ一家の中学受験も

になるらしいぜ。

 

www.jukenlab.net

慶應湘南藤沢中 で出題『ギフト、ぼくの場合』(今井 恭子)

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『ギフト、ぼくの場合』(今井 恭子/小学館

 

受験生の対極にありそうな家庭の子が主人公だ。

お金が無くて修学旅行をあきらめるような家でも

心を折られず、人の力になりたいと願ってる子だぜ。

 

そんないい子を次々と不幸なことが襲ってくるんだよな。

むしろ、こっちの心がやられちまいそうになったぜ。

“不幸仲間”の考え方とかも切ないんだよなぁ・・

 

なくして悲しいものはさ、持ってたってだけで恵まれてた。だろ?(本文より)

 

酷い大人が多すぎたりでモヤモヤするが、

視野を広げてくれそうな本ではあるぜ。

 

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偏差値20年推移(男子・上昇バージョン)

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四谷大塚 入試結果80偏差値(一部抜粋)

 

中堅校以上では上昇した学校が

圧倒的に多かったように見えるな。

 

低偏差値帯の推移は今回追わなかったが

状況からして上との差が拡大してるのかもな?

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

少しでも高い偏差値の学校にっていう親の気持ちは

わかるんだが、実力相応校に入った方が幸せって意見も

高濱正伸森上展安みたいな専門家の間には多いんだよな。

 

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週刊ダイヤモンド2020年11月28日号より

 

俺は逆転合格の地獄を知ってるから無理な挑戦は嫌いだが

最近読んだ本で挑戦の意義を堂々書いてるのを見て

ムムー、なるほどー!なんて思わされたぜ。

 

今度はその本の紹介をしてみるわ。

偏差値20年推移(男子・下落バージョン)

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四谷大塚 入試結果80偏差値(一部抜粋)

 

偏差値20年推移だが、男子校は女子校みたいに

大幅下落の学校はあんまし見当たらないな。

 

ちなみに古いデータはココのを

利用させてもらったぜ。

 

https://data-tengoku.com/juken/juken.htm