中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

すぐ役立つことは、すぐ役に立たなくなる『伝説の灘校教師が教える一生役立つ学ぶ力』(橋本 武)

付け焼刃で詰め込んだ知識は、すぐに忘れて使い物にならなくなります。(本文より)

 

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『伝説の灘校教師が教える一生役立つ学ぶ力』(橋本 武/日本実業出版社

 

で50年国語を教えた先生の本。

3年かけて一冊の本を読み解いていく

スローリーディングの授業で有名らしい。

 

国語力を鍛えておけば、理数系科目の理解度も

グンとアップするっていうから、見逃せないよな。

スローリーディングと並行して多読も推奨しているぜ。

 

解らなければとばしてもいいから、教養の詰め込むんだと。

そのとき解らなくてもあとで役立つときが来るそうな。

 

一人の人生において経験できることは限られるが

読書を通じて知見を広げていけば、可能性を

いくらでも広げられるっていうことだ。

 

こういう特徴ある授業を許すのは

伝統ある名門校ばっかかもな。

武蔵だとか麻布だとか?

中受親のメンタルワクチンだな

ったく、光文社の編集者は

俺に鼻血ブーさせる気かよっ。

 

朝比奈あすかに中学受験の小説を

出させるとかヤバ過ぎだろコイツは。

 

過熱する親の心情を余すところなく描いた

っていう『翼の翼』は来週、9/22発売だとさ。

 

中学受験の沼にズブズブはまりこむ登場人物達は、

読者目線でいえば自分が罠に落ちてしまわない為の

いい教訓になるんじゃないか?って気がするんだな~。

 

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『君たちは今が世界』(朝比奈あすか/角川文庫)

 

この朝比奈あすかといえば、今さらと思われそうだが、

『君たちは今が世界』に再度注目したいところだな。

 

開成、サレジオ、海城などで出題された作品だが

7月の文庫化にあたってまるまる1章約50頁が

書き下ろしで追加されてるもんだからよ~。

 

追加エピソードは、なかなか重い家族の

空気を読まない正義感を振りかざす

トラブルメーカー少女の話だぜ。

 

最後の数ページに注目だ。

いきなりハードな『蝶の羽ばたき、その先へ』(森埜 こみち)

前作の『わたしの空と五・七・五』

句会のシーンが鴎友学園で出たらしいな。

 

『蝶の羽ばたき、その先へ』飛ぶ教室

60号の本の紹介コーナーに掲載された作品だ。

序盤から中盤までをまとめるとこんな感じだわ。

 

中学2年生になったばかりの主人公は突然、片耳の聴力を失います。「きっと治る、かならず治る」自分に言い聞かせる彼女に医師から伝えられたのは、信じたくはない現実でした。

難聴をみんなには知られたくない。そう思いつめた主人公は、聴きづらいことを秘密にしたままで学校生活を送ろうとしますが、やがて考えの甘さを思い知らされることになります。

(以上、物語の中盤までを要約)

 

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『蝶の羽ばたき、その先へ』(森埜 こみち/小峰書店

 

ここまでは不安から絶望に至る部分なんだが

この後の出会いを主人公がどう受け止めて

変わっていくのかに注目して欲しいな。

 

見ておきたいのは合唱コンクール

それと手話サークルでの出会い

これらの場面が狙い目だな。

サピオープンより首都圏模試

『プレジデントFamily』のバックナンバー

”わが子を慶應に入れる”っていう特集記事に、

意外過ぎることが書いてあって驚いちまったわ。

 

首都模試は処理力を問う基礎的な問題が中心だから

大手進学塾の模試よりも慶應志望には向いてるんだと。

お勧めは統一合判85%超の得点を目指すといいらしい。

 

慶應系だけではなく、早稲田系やMARCHなどの附属を

目指す子にも首都圏模試がいいって書いてあったぜ。

 

俺はてっきり上位校目指す子は首都模試スルーで

OKだと思ってたが、そうとも限らないんだな。

 

ま、志望校別オープンはサピックスとか

大手塾の模試の一択って気はするが。

 

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『プレジデントファミリー』より野田英夫氏(早慶維新塾塾長)のコメント

 

ハラハラ恋色素材『これはきみへの手紙』(佐々木 愛)

飛ぶ教室(66号)も

入試に出そうなのがあるな。

 

特に『これはきみへの手紙』

佐々木愛の出題実績はないものの、

使いやすそうで、しかも読ませるぜ。

 

出題者の目に止まってもおかしくないわ。

 

軽~く要約してみると、こんな感じになるな。

 

主人公は中2女子。学校で人気者の男子に自分と同じ秘密があると知った彼女は、理由を知りたくなり名前を伏せて手紙で問いかけます。

こうして図書室の本に手紙を挟む形で始まった往復書簡でしたが、少女が正体を明かさなかったことから、思わぬ展開を見せるのでした。

(以上、さわりを要約)

 

手紙の相手を誤認したまま突っ走る少年、

悪いと知りながら好奇心に負ける少女、

揺れ動く彼らの心情には要注目だ。

 

男子校でもこういう恋色素材

出題実績があるからな!

 

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飛ぶ教室』(66号/光村図書)より短編『これはきみへの手紙』(佐々木 愛)

 

この66号は村上しいことかも

載ってるが昔話パロディーだし、

テストの素材にはなりそうもない。

 

もう一つ、出題候補を挙げるとすると

『文の手紙』(櫻井とりお)ぐらいだな。

自分の名前が好きじゃない少女ふみの話だ。

 

これらの短編2つとも読んでも15分かからんぞ。

データで見る機会不均等『子ども格差の経済学』(橘木 俊詔)

『二月の勝者』で参考文献に

載ってたんで、手にしてみたわ。

 

保護者の年収と小6の子供の国・算の

成績が見事にリンクしてる図が衝撃的だ。

 

塾に通えるかどうかで、格差が受け継がれる。

教育投資を家計に依存するからこうなるのであり

支出は公費でまかなうようにしないとダメだ。

 

著者の言いたいのは、こういうべき論だ。

 

家計にゆとりある家庭からしたら、

「ハァ?」かもしれないんだが

むしろ日本が異例らしい。

 

そもそも塾とは何か

外国人には説明

しづらいと。

 

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『子ども格差の経済学―「塾、習い事」に行ける子・行けない子』(橘木 俊詔/東洋経済新報社

 

日本が学歴による

収入の格差が少ない方

だとは知らなかったわ~。

 

ただし、高卒・大卒の収入差は

相対的に小さいが、名門とそうで

ない学校の年収格差は大きいんだと。

 

ま、能力主義の拡大で将来の収入における

名門大学の優位性は揺らぎつつあるわけだが。

自力で学ぶ力のために『子どもの頭が良くなる読書法』(チェ・スンピル)

徹底的に読書の魅力を訴えかける

韓国のベストセラー本ってハナシだ。

 

「祖父の財力、父の無関心、母の情報力」

これがかの国における優等生の三条件らしい。

 

高額で優れた教育が優秀な子どもを育てるんだが

読解力がないとその効力は失われていくんだってよ。

 

これこそが聞いて学ぶ勉強法の欠陥なのであって

読んで理解する経験の欠如が問題って主張だ。

 

速読は悪であり、音読の速さで読み込む

経験を積むことで学力がつくそうだ。

 

こうやって言語能力を高めれば

教科の学習に必要な力は短期間で

習得可能、つまり追い上げできると。

 

読書に慣れてる子と、そうではない子の

脳の活動領域の話ってのも興味深かったぜ。

 

慣れてる子は脳の一部だけ使って読める一方で

慣れてない子は活動領域が広く、一杯一杯になる

読解力不足はメモリ不足のPCみたいなもんかもな。

 

実際に問題を解くときに余裕がある人とない人、

どちらが有利なのかは言うまでもないよな?

 

日本の朝の10分読書で全教科の点数が

上がったって話も紹介されてたぜ。

なぜか数学で効果大なんだな。

 

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『子どもの頭が良くなる読書法』(チェ・スンピル/ダイヤモンド社