中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

鷗友学園女子中 で出題『アドリブ』(佐藤 まどか)

都立白鷗 の同窓会が設立した女子校だ。

 

中学受験に偏差値が取り入れられた黎明期、

30台後半という数字に危機感を抱きまくって、

改革に挑んだおかげで、今の 鴎友学園 がある。

 

そんな話が最近読んだ中受の本に出てたぜ。

まぁ、30年以上も前に先手を打てたのは

大成功だったっていえるんだろうな。

 

f:id:yuki-to-kaze:20210410205418j:plain

『アドリブ』(佐藤 まどか/フレーベル館

 

今年の入試素材で使われた『アドリブ』は

イタリアを舞台に、両親が日本人という少年が、

フルート奏者めざし国立音楽院でがんばる物語だぜ。

 

はじめは演奏する喜びに満ち溢れていた主人公なんだが、

いつしか初心は失われて、音楽が苦痛にすらなっちまうんだ。

 

そんな彼だが優しい母や、よき仲間、尊敬できる師匠のおかげで、

目の色を変えて努力するようになり、スランプを乗り越えるんだよな。

 

「成功する人間はみな、真剣なだけじゃない。自分の欠点を認め、絶えず向上心のある人間だけだ」(本文より師匠の言葉)

 

イタリア在住の著者の子が国立音楽院に通っていたただけに、

リアリティはバッチリで、山あり谷ありも楽しめるぜ。

 

佐藤まどかの作品で特別に印象に残ってるのは

入試素材でたまに使われる『一〇五度』の

こんな示唆に富みまくったセリフだ。

 

「一番好きなことを仕事にしちゃいかん。逃げ場がなくなる。趣味でやればいいじゃないか」(『一〇五度』本文より)