中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

異邦人たちの葛藤『M』(岩城 けい)

どいつもこいつも、人種を見ないで人を見ろ!(本文より)

 

たまに出題される作家の6月に出た作品。

 

父の仕事の都合でオーストラリアに移り

のちに母と姉が帰国しても現地に残ると

決意したマサト少年シリーズの最終巻だ。

 

現地に溶け込もうとする意志を阻む壁が

丹念に描かれていて勉強になる作品だよ。

 

一方で、今作は小学生には見せたくない

くだりが数ヶ所あるんで悩ましいところ。

 

素材文適性はそれほど高くはないんだが

アルメニア女性との対話が狙い目だろう。

 

役者に興味はないかと聞かれるくだりや

自分たちのルーツを語り合うシーンなど。

 

俺のレビューの出だしはこんな文章だよ。

 

進路に迷う豪在住の大学生が主人公。日系あるいはアジア系と見られることに嫌というほど縛られてきた彼が、近しい葛藤を抱く女性に出会い、関わり合う中で、自身の生き方を見つめ直していきます。

 

『M』感想・レビュー

 

日本にいては気づけない問題も(2023年6月発売)