中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

真心が芯まで響く『水車小屋のネネ』(津村 記久子)

性格のいい友達を見つけるのは、子どもの人間性がまだ剝き出しのまま混ざり合っている小学校ではとても難しい。(本文より)

 

たまに出題される作家の3月に出た新作。

紹介作品の中では最大級のボリュームだ。


あらすじに「しゃべる鳥」とあるんだが

動物視点の話ではまったくないんですわ。


18歳の姉が8歳の妹と親元から逃れて、

つつましい暮らしの末に満たされていく。

ヒトコトで言うとこんなストーリーだよ。


注目は姉妹の引っ越し先の人々の優しさ。

小学校の担任の先生もいい人だったな~。

真心が連なり広がっていくさまが熱いよ。


読めば優しい気持ちになれそうな作品だ。

 

完全に大人向けなので子供には難しいが

素材文によさそうな箇所もそこそこある。


問題に使えるかもしれない場面

〇第一話 先生が家庭訪問にやってくる

△第一話 熱心な先生が再び家庭訪問に

〇第一話 多人数面談シーンの後半以降

△第一話 友だちの発表会に招かれた日

△第二話 重い過去を打ち明け合う男女

〇第三話 生活苦の中3男子と語り合う

◎第三話 問題集を拾って思わぬ流れに


ちなみに本作に登場するヨウムって鳥は

声帯模写できるだけでなく知能も高いと

さまざまな媒体で紹介されてたりするよ。


俺のレビューの序盤はこんな感じですわ。


母のひどすぎる婚約者に耐えられず親元を飛び出した姉妹が、遠い町で身を寄せ合い、人の優しさに触れながら、幸せを見つけていく物語です。心を洗われましたね。あふれるほど受け取った恩を、人を思いやることで世の中に返していくという生き方がまぶしかった!

 

『水車小屋のネネ』感想・レビュー

 

年の離れた姉妹の長いあゆみ(2023/3発売)