ぼくは平気だよ。不自由なんかじゃない。そう伝えたいのにうまく伝えられない。(本文より)
今年の入試で少なくとも3校で出てた
ちゅうでん児童文学賞大賞受賞により
注目作家の仲間入りした先生の新作だ。
発売日は2ヶ月先の5月下旬の見込み。
同時期に直近のちゅうでん受賞作家の
『ブルーラインから、はるか』も出る。
新旧の大賞作家の本が書店に並ぶよ~。
さて、今作では個性に負い目を感じる
少年が自分の特性を軸に変わってく話。
道徳的要素がちょっと強めな物語だし
先生や司書に好まれやすい気がするよ。
素材文適性の面では少なくとも5つは
使えそうなくだりを見つけたんだけど
ネタバレ禁止なのでフワッと羅列する。
△製作物のことで嫌な思いをする場面
△母の優しさに息苦しさを感じる場面
△先生が親のことをみんなに語る場面
△教室で有意義な意見が飛び交う場面
△祖父の家でクラスメイトと話す場面
これだけじゃなく多分まだまだあるよ。
平易だから5年生なら読めそうですわ。
今回は俺のレビュー全文を付けとくよ。
心が洗われる読書体験でした。
主人公は色覚障がいのある小学生。
劣等感から、家でも学校でも不安を抱え日々を過ごしていた彼が、欠点と疑わなかった個性の美点を知り、目の色を変えてやりたいことに邁進していきます。
共感したわ~。
努力でどうにもならないことに少年が後ろめたさを感じてしまう描写が胸に迫りました。
何とかできないのか?そう思わずにいられませんでしたね。
それだけに、終盤の展開には目頭が熱くなりましたよ。
本人の成長が思わぬ方向に影響を及ぼしていくくだりではこちらまでもウキウキ。
担任の教師がまた本当によくって、著者が訴えたかったことが先生の言葉という形でビシバシ響いてくるので、ぜひ期待していてください。
私は肩の力がフッと抜けるような信念に触れられて得した気分です。
本の紹介文で書かれているように多様性を知るきっかけになるのはもちろんその通りなのですが、それだけではありません。
少年の心のきらめきが、読者の生き方にも働きかけてくるような、とびきりの作品だと私は思います。