どうしてみんなと同じことができないんだろう。小さいころは、そう何度も思った。(本文より)
入試ではあまり見ない作家の来月の新作。
この先生の本は優良図書が多いんだけど
あんまし使われない理由はなんだろうね。
野間児童文芸賞だった前作なども含めて
今度の作品は過去最高に気に入ったわ~。
家庭に深刻な問題を抱え学校で問題児と
みなされる少年があがくストーリーだよ。
いじめられっ子の彼が立ち上がる場面は
涙腺的にも鳥肌的にも、くるものがある。
重いテーマなのに読後感がいいのが凄い。
テストの素材にも使えそうだと感じたわ。
アノ要素の扱いがちょっと難しいんだが
そこは逆に作問者の腕の見せどころかな。
今回は俺の先行レビュー全文をあげとく。
“今日もお母さんは帰ってこない”
もし自分がこんな家に生まれていたらと思わずにいられませんでした。
部屋をあったかくしていたのに何度も鳥肌が立つなんて!
主人公は小学六年生。
荒廃した家庭で諦めることに慣れきってしまった彼が、心のよりどころとなる存在を見いだし、そこに救いを求めていきます。
いじめられていた彼が教室の空気を一変させる場面、カッコええわ~。
このときの先生のさり気ないゼスチャーも超ナイス!
徹底してぶれない少女の気高さにも心を打たれましたよ。
この作品、胸に迫ってくる衝撃が尋常じゃないです。
気づけば少年がつらさから少しでも解放されるよう、ひたすら願っていました。
全体を通して、親ガチャ、ネグレクト、いじめ、LDなど軽くはないテーマを扱っていながら思い切り爽やかな終幕でしたね。
大人でも心を震わせてしまう稀有な児童書。
これは間違いなく子どもたちにも刺さると思いますよ。