中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

渋谷幕張中で出題『星影さやかに』(古内 一絵)

あとにもさきにもあんな立派なおなごには会っだこどがねえ。本当に真の姫君でがした。(本文より)

 

今年の渋谷幕張で出題された高難度作品。

 

戦前から戦後という時代背景の上に方言も

あるんで並の小6では歯がたたなそうだわ。

難関校以外での出題はないんじゃないかな。

 

大人なら読める味わい深くていい作品だが、

こんな素材使ってくるなんて流石は渋幕だ

 

俺のレビューからの一部抜粋は以下の通り。

 

主人公を変えつつ戦前・戦中・戦後にわたる家族の生き様を描いた物語。厳しさの中にある優しさ、儚さの中にある強さが心に沁みる作品です。家族に背を向け書斎にこもりきりの父や、母を使用人のように扱う高慢な祖母の印象は、読み進めるうちにガラリと変わることでしょう。

 

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『星影さやかに』(古内 一絵/文藝春秋

 

それぞれの片想い『ソノリティ はじまりのうた』(佐藤 いつ子)

2020年入試で出題4位筑波大附属

鴎友学園で使われ今年も専大松戸で出てる

注目作家の先月発売されたばかりの新作だ。

 

合唱を通じてまとまっていく中1を描いた

青春群像劇なんで素材として使いやすそう

 

合唱を扱う入試出題作は少なくないからよ。

なんせ以下に挙げたのなんてほんの一例だ。

 

くちびるに歌を』(中田永一

『よろこびの歌』(宮下奈都)

『みつきの雪』(眞島めいり)

金木犀とメテオラ』(安壇美緒)

 

『ソノリティ』では、第五章に注目したい。

他の章も使えるが、心情を問うなら五章に

使いやすい箇所が集中している印象だった。

 

本全体についての俺のレビュー抜粋は以下。

 

合唱の指揮者に選ばれてしまった引っ込み思案の中1女子を柱として、5人の視点で描かれる青春群像劇です。当初バラバラだったメンバーがトラブルを乗り越えてまとまり、冷めていた者も熱くなっていくというストーリー。主要人物がみんな誰かに恋してる感じの微笑ましい恋愛要素を含んでいるのもこの作品の特徴です。自己主張できなかった子が別人のように生まれ変わり、思いがけない行動にでる瞬間には、思わず胸が熱くなるかも?

 

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『ソノリティ はじまりのうた』(佐藤 いつ子/KADOKAWA

 

泣ける子は強い

たま~に真面目に書いてるブログ紹介記事。

次回は以下の内容で夏までに書くつもりだ。

 

『涙を強さに変えて ~ある早稲アカ女子の疾走~』

参照元不屈の闘志 -娘と私の2年間 偏差値35からの中学受験- (mangetsu-mama.com)

 

なぜこんな早くから予告してるかというと

紹介するつもりのサイトが閉鎖予定だから。

 

ドラマがあって参考になって後日談もいい

稀有なサイトだったんで残念すぎるんだが。

 

伴走力溢れる両親とがんばり女子の歩みは

年月を越えて子育て家庭に役立ちそうだし

気になるんなら今のうちにチェックすべし

 

参考:これまでに書いた本気レポート

2月1日の奇跡 ~或るサピックス生のあゆみ~ - 中学受験と児童書と (hateblo.jp)

心に御守りをたずさえて ~或る日能研女子の復活劇~ - 中学受験と児童書と (hateblo.jp)

 

本の紹介の方はまだレビュー書けてないが

発売予定も含め気になってる本が以下4作

 

『夏の体温』(瀬尾まいこ)3/17発売

『マスクと黒板』(濱野京子)4/21発売

『ハッピー・クローバー!』(高田由紀子)5/10発売

『ちいさな宇宙の扉のまえで: 続・糸子の体重計』(いとうみく)6/1発売

 

前に少し触れた『ソノリティ』はようやく

借りられたんでこのあと記事にする予定だ。

 

 

桜蔭中で出題『そらのことばが降ってくる: 保健室の俳句会』(高柳 克弘)

短歌や俳句なんかを扱う作品も中学入試で

出まくりだから、覚えとくといいかもな?

ちょっと思いつくだけでもこんだけあるし。

 

『南風吹く』(森谷 明子)

『私の空と五七五』(森埜 こみち)

『リマ・トゥジュ・リマ・トゥジュ・トゥジュ』(こまつ あやこ)

 

でもって今年の桜蔭で出たのがこの作品だ。

ほくろが気になって、マスクを手放せない

少年が同級生との交流で変わっていく話だ。

 

保健室の先生が言う大人にも役立ちそうな

ちょっとした習慣の話題が興味深かったわ。

 

子どもの頃にね、今日あったことで良かったことや人のためになることをプラス、反対のことをマイナスとして寝る前に書きだしてたの。一日のトータルがプラスになら自分をほめる。逆ならもっとがんばらなきゃって励ますのよ。

(本文より、養護教諭の言葉を要約)

 

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『そらのことばが降ってくる: 保健室の俳句会』(高柳 克弘/ポプラ社

 

出題が予想される物語文『かぞえきれない星の、その次の星』(重松 清)

きみたちは、目に見える範囲では一人でも、一人ぼっちじゃない。

(『かぞえきれない星の、その次の星』所収の短編『ともしび』より)

 

重松清は頻出作家だけど新作からバンバン

出題される訳じゃなく古い作品からが多い

 

しかしこの11編の新作短編集はいかにも

入試素材になりそうな作品がいくつかある

 

『ウメさんの初恋』はすでに四谷大塚とか

日能研の模試なんかで使われてるらしいな。

 

それより俺としては送り火のあとで』

『コスモス』が狙い目っぽい気がしている。

 

とくに送り火のあとで』下線を引いて

家族の心情を問いたくなる箇所がありすぎ

 

日系人の少女の葛藤を描く『コスモス』

今風なテーマ+家族愛=出題?って印象だ。

 

逆に言うと受験生推奨なのはこの3編のみ

じっくり味わいたい話はもっとあるけどな。

 

毎度のことだが俺のブックレビューは以下。

 

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『かぞえきれない星の、その次の星』(重松 清/角川書店

 

わたしは何者なんだろう『境界のポラリス』(中島 空)

講談社児童文学新人賞の佳作だった作品だ。

 

大賞該当作のない年度の受賞作ではあるが

異文化理解だとか外から見た日本人という

テーマってのも重要っぽい部分があるわな。

 

5歳で来日してつらい小・中時代をすごし

人間関係をリセットするために、わざわざ

遠くの中高一貫校に高入した女子が主人公。

 

自信がなく、中国人であることを隠したい

彼女がボランティアを通じて変わっていく。

 

自分が正しいと思ったことを人に押し付け

衝突し、誤りに気づく部分とかは大事だな。

 

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『境界のポラリス』(中島 空/講談社

 

志望校で出る作品は当てられない

昨日は模試の出題なら当てられると書いた。

 

ただ、実際に受ける学校で出る本ってのは

ほぼ確実に当たらないと思ったほうがいい。 

 

入試の出題者には、頻出作品を狙って出す

動機がないし、旧作も中受界隈でだ~れも

気にしてない作家の作品も実際出るからよ。

 

本番はカバーすべき範囲が桁違いなわけだ。

 

だから入試に出る本を何百冊も読んだ俺も

初見の入試素材での既読率は15%未満だ。

 

模試の出題を追えば、どっかの学校で出る

作品は当てられるだろうが、志望校で出る

作品は当てられないのが現実ってことだよ。

 

yukikaze.hateblo.jp