中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

活力を分けてくれそうな『シタマチ・レイクサイド・ロード』 (濱野 京子)

自分ができないと思っていることを、他人からお前ならできると言われるのも、けっこう傷つくことだと悟った。(本文より)

 

たまに出題される作家の来月発売の新作。

 

進学校の文芸部員を描いた作品なんだが、

出題しやすそうな箇所がやたらに多いよ

素材の使い勝手って意味じゃ◎だろうな。

 

それでいて、読後感がいいのなんのって。

恋愛モノって子どもに薦めにくいんだが、

この作品は珍しく読ませたくなるタイプ

 

特に終盤の主人公の心情がいいんだな~。

俺の激賞レビューの序はこんな感じだわ。

 

主人公は何にも本気になれないという高校2年生。文芸部なのに創作意欲がないことに引け目を感じていた彼女が、意外なところから味方を得て、活力をもらい、新しい自分を発見します。

 

『シタマチ・レイクサイド・ロード』感想・レビュー

 

どうなる?書けない文芸部員(3/15発売予定)

 

中受小説『ギフテッド』『すべてあなたのためだから』の話題など

親世代向けで出題とは無縁っぽいんだが、

今気になってる中学受験小説がこの2つ。

 

2022/11/24発売

『ギフテッド』(藤野 恵美)

藤野恵美は中学入試でもたまに出る作家。

挫折エリートが発達凸凹系だという姪の

中学受験に伴走する筋書きのようですわ。

 

2023/2/7発売

『すべてあなたのためだから』(武内 昌美)

ビリビリ装画が怖いが中身も相当らしい。

 

エスカレートする教育熱の先にあったものは・・?

 

どっちも借りられるのがだいぶ先なんで、

レビューは年内にできるかどうか微妙だ。

 

中受絡みの新作ではコレをレビュー済み。

ただし、こちらでは取り上げない予定だ。

紹介するのを躊躇する怖さがあるもんで。

 

中受小説ではないが先行レビュー申請に

落選してそのまま忘れていた作品が以下。

 

2023/1/30発売

『つぎはぐ、さんかく』(菰野 江名)

複雑な事情を抱えるという三人兄弟の話。

 

昨年のポプラ社新人賞受賞作品らしいな。

新人の作品なのに口コミの広がりが急で

しかも読友さんたちが高評価してんだわ

 

出題要素もあるようなんで楽しみな本だ。

こっちは夏頃までにはレビューできそう。

打ちのめされたときに読みたい『青の刀匠』(天沢 夏月)

人の痛みを知ることは難しい。その傷が深ければ深いほど、簡単にわかったような顔をされるのも癪だし、かといって理解されない孤独もまた苦痛なのだ。(本文より)

 

突然どん底にまで突き落とされた少年が

絶望の淵でもがく様に釘付けになったわ。

 

『青の祓魔師』を連想するタイトルだが

半端でない葛藤を描いた真面目な小説だ。

 

素材文に使えそうな箇所は意外と多そう

兄弟子や同級生との会話シーンとかな?

 

毎度のレビューはこんな書き出しですわ。

 

普通の生活を送っていた高校生が、突然の火事で重い火傷を負い、肉親とも別れ別れになります。自暴自棄になっていた彼を引き取ったのは、遠縁にあたる島根の刀鍛冶でした。

 

bookmeter.com

『青の刀匠』(天沢夏月/ポプラ社

 

大切な人を、より大切にしたくなる『天国からの宅配便 あの人からの贈り物』(柊 サナカ)

先月の栄東で出題された物語文の続編だ。

4つの短編はどれも面白くてお勧めだが

特に小5女子が主人公になる話がいいよ

 

『七十八年目の手紙』は曾祖母に届いた

古い友人の手紙のために少女が奔走する。

 

様々な国の人の優しさに触れ、助けられ、

感謝を伝えるために彼女はどうするか?

 

まぁ、見てやって欲しいと思うんですわ。

 

俺のレビューの一部はこんな感じだわさ。

 

超常的な力で死者から贈り物が届くような話と思って敬遠していましたが、全然違いました。余計な要素抜きで丁寧に描かれているのは、人の優しさであり、別れの切なさです。

 

『天国からの宅配便 あの人からの贈り物』感想・レビュー

 

短編『七十八年目の手紙』は出題要素が多め(2/22発売予定)

 

出題されるかもしれない新刊本(2023年3月前後)

これから明るみになるのもあると思うが、

3月前後の新作で目に留まったのは以下。

 

2/15発売

『ゆうべの食卓』(角田 光代)

ほどよく短く手軽に楽しめそうな11編。

 

2/22発売 ☆ 先行レビュー済み ☆

『つる子さんからの奨学金』(まはら 三桃)

久しぶりに来た素材文に使いやすい作品。

 

2/22発売 ☆ 先行レビュー予定 ☆

『天国からの宅配便 あの人からの贈り物』(柊 サナカ)

先月の栄東入試で出題された作品の続編。

 

2/24発売

『神無島のウラ』(あさの あつこ)

頻出作家が離島の先生を描く期待の新作。

 

3/13頃発売見込 ☆ 先行レビュー予定 ☆

『シタマチ・レイクサイド・ロード』(濱野 京子)

たまに出題される作家が描く高校文芸部。

 

3/22発売

『金色の羽でとべ』(高田 由紀子)

佐渡島好き過ぎ作家の郷土愛溢れる新作。

 

4/5発売

『はるか、ブレーメン』(重松 清)

ちょっとSFテイストが入ってる異色作?

 

4/7発売 ☆ 先行レビュー予定 ☆

『きみの話を聞かせてくれよ』(村上 雅郁)

等身大の中学生たちを描いた連作短編集。

 

4/12発売 ☆ 先行レビュー予定 ☆

『ハーベスト』(花里 真希)

個性あふれる3人の園芸部員を描く新作。

 

4/12発売

『雨にシュクラン』(こまつ あやこ)

元・最頻出作家が再び異文化交流を描く。

 

いつも書いてるが未読の作品が多いんで

たぶん入試向きじゃないのも混じってる

 

真に受けて即買いとかしないようにな?

 

近日発売の中では期待度高め

 

発売済みで今後レビューしたい新作

『青の刀匠』(天沢 夏月)

『バスを降りたら』(眞島 めいり)

『イコ トラベリング 1948-』(角野 栄子)

『鈴の音が聞こえる』(辻 みゆき)

ちゅうでんにハズレなし『雪の日にライオンを見に行く』(志津 栄子)

そういうやつがおってもええ。みんなは思っているのかもしれないけど、唯人はそんな自分のことが好きじゃなかった。(本文より)

 

ちゅうでん児童文学賞の大賞作品ですわ。

 

引っ込み思案の少年が自分の殻を破る話。

一言で言っちまうとこんなストーリーだ。

 

転校生と関わって変わるという王道展開。

ただ、それだけじゃない要素もあんだわ。

 

バスの中のシーンとか長なわの話だとか

素材文としてかなり使いやすそうな印象

 

大阪弁がネックになるかも知れないけど

そういうの気にせず出す学校もあるしな。

 

俺の激賞レビューの後半部分はこんなだ。

 

弱気な自分のことで一杯一杯だった彼が、孤立へ一直線だった少女を気にかけ、ここぞというときに進み出るさまには目頭が熱くなりましたね。助けられてばかりだった少年が、何をきっかけに、どう変わっていくのか?ぜひ注目してください。

 

『雪の日にライオンを見に行く』(志津 栄子/講談社

 

出題作とは毛色が異なる『白ゆき紅ばら』(寺地 はるな)

「ちゃんと自立したいんです。わたし、自分の人生ってやつを手に入れたいんです」(本文より)

 

2023年入試で多数出題されたことで、

再び注目を集めている作家の最新作だわ。

もうじき発売なんで今回は先行レビュー

 

反面教師から教育の大切さを知る意味で

大人にはぜひ読んで欲しいと思うんだが

小学生にはあんまし見せたくない内容だ

 

まれに素材になりそうな場面もあるけど

学校からのラブレターには不向きだろう。

 

まぁ、読み始めると続きが知りたくって

やめられない止まらないになるのも事実

 

たぶん子供が子供らしくいられるように

するのは大人の責任だと痛感するだろう。

 

俺のレビューの書き出しはこんなですわ。

 

すべての困窮する母子を守ると謳う「のばらのいえ」。そこには表向きの顔からは想像できないドス黒い秘密が隠されていました。

 

『白ゆき紅ばら』感想・レビュー

 

悪意に絡めとられる子どもたちの運命は・・?(2/22発売予定)