中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

麻布、渋渋、明の星、さすがの選書『タイムマシンに乗れないぼくたち』(寺地 はるな)

『タイムマシンに乗れないぼくたち』(寺地 はるな/文藝春秋

 

誰かと同じ空間にいても、人間は簡単に「ひとり」になるものだと、こんなふうになるずっと前から知っていた。(本文より)

 

去年も感じたが、麻布はいい本選ぶな~。

こんな素材出すなんて流石だと感じたわ。

 

渋渋浦和明の星などでも出題されたし

今年の台風の目は寺地はるなだった訳か。

 

前に国語読解の本に悪い先生の出る本は

入試には出にくいと書いてあったんだが

この作品は逆に先生の役どころがいいよ。

 

少年の葛藤、苦悩、からのちいさな一歩。

機を逃さずさりげなくサポートする先生。

 

これは読んだら使わずにいられないかも。

 

俺のレビューの書き出しはこんな感じだ。

 

寂しさを抱える人に光が差す7編。私が惚れ込んだのは小6男子が主人公の表題作ですね。親の離婚のせいで何もかもが一変し、孤独の極みにいた少年に訪れた突然の転機には心底惹き込まれました。

 

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2023年度中学入試の国語出典(紹介作品からの出題・第一報) 

2023年組は悲喜こもごもだろうな?

 

直前期の何も手につかなくなる感覚とか、

終了後の何もする気がなくなる感覚とか、

心がカラッポになる気持ち、わかるな~。

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

まだ一部の学校しか確認できてないんで、

これから増えてくんだろうが出典予想は

やっぱしあんま当たってないみたいだわ。

 

特に男子の最難関レベルは外しまくりだ

 

まぁ、前にも書いた通り12作品程度が

入試に出てくるかな~という予想だしな。

 

旧作も含めて紹介本から出た学校のうち、

現時点で判明しているものは以下の通り。

 

『ひみつの犬』(岩瀬 成子)

桜蔭

 

『博士の長靴』(瀧羽 麻子)

豊島岡女子学園逗子開成愛光甲陽学院桐光学園・2回目、西武学園文理

 

『夏の体温』(瀬尾 まいこ)

鷗友学園女子、横浜共立学園明大中野、暁星、神奈川大附属、開智・先端A、専修大学松戸・1回目、滝

 

『ココロノナカノノノ』(戸森 しるこ)

洗足学園・1回目、香蘭女学校・1回目

 

『家族セッション』(辻 みゆき) 

洗足学園・2回目

 

『ソノリティ はじまりのうた』(佐藤 いつ子)

洗足学園・3回目、学習院中等科・1回目、開智未来、春日部共栄、京都女子

 

『空をこえて七星のかなた』(加納 朋子)

慶應普通部

 

『おにのまつり』(天川 栄人)

学習院中等科・2回目

 

『スクラッチ』(歌代 朔)

学習院女子

 

『空と大地に出会う夏』(濱野 京子)

立教女学院

 

『すこしずつの親友』(森埜 こみち)

栄東・東大Ⅱ

 

『朔と新』(いとう みく) 

昭和学院秀英

 

『母さんは料理がへたすぎる』(白石 睦月)

サレジオ学院

 

『バスに乗って』(重松 清)

攻玉社

 

『シャンシャン、夏だより』(浅野 竜)

桐朋、高輪

 

『金の角持つ子どもたち』(藤岡 陽子)

法政大学第二滝川第二・1回目

 

『with you』(濱野 京子)

早稲田佐賀

 

『駒音高く』(佐川 光晴)

専修大学松戸・2回目

 

『ななみの海』(朝比奈 あすか)

桐光学園・1回目

 

『セカイを科学せよ!』(安田 夏菜)

鎌倉女学院

 

『マスクと黒板』(濱野 京子)

昭和女子大昭和

 

『モノクロの夏に帰る』(額賀 澪)

神奈川学園・1回目

 

『答えは風のなか』(重松 清)

神奈川学園・2回目

 

『わたしのあのこ あのこのわたし』(岩瀬 成子) 

大妻多摩

 

『学力の経済学』(中室 牧子)

須磨学園

 

『宙ごはん』(町田 その子)

滝川第二・2回目

 

『マイブラザー』(草野 たき)

佐久長聖

 

※さらに詳しい情報はコチラ

紹介作品からの出題(2023年度中学入試の国語出典・随時更新)

 

今年もド新作だった桜蔭(2022/10/12発売)

 

 

胸を張って入学することの効果『令和の中学受験2 志望校選びの参考書』(矢野 耕平)

心構えに力点を置いた前作も良かったが

今作は各校の具体的な取組みがたっぷり

 

◎ 本書で特集が組まれていた学校

浦和明の星女子、吉祥女子、都市大等々力、本郷、普連土学園、桐朋、頌栄女子学院、不二聖心女子学院金沢学院大附属

 

◎ 本書で扱いが大きかった学校

浅野、芝国際、聖光学院、田園調布学園、法政大学第二、三輪田学園、森村学園

 

三輪田学園は本郷、開成、早稲田などとの交流・協働の実績あり

 

前に別の本のレビュー2/1合格者が

併願日程の、より高偏差値の層を入学後

追い越していくって話を紹介したんだが

三輪田学園でも同じ現象があるそうだよ。

 

他校の先生たちも口を揃えて言うらしい。

前向きな気持ちで来る子が伸びやすいと。

 

その学校が好きで堂々と通える子の方が

やっぱし入ってから後伸びできるんだな

 

となりゃ、親が進学先の学校を好きなる

というのも大事な大事な要因になるわな。

女子校イイネ!と思わせてくれる『らんたん』(柚月 麻子)

学園だけは楽しくしましょうよ。どんな時でも、そこだけは守りましょうよ。それが私たちにできる真剣な戦いのやり方です。(戦時下の恵泉普通部を描いたくだりより)

 

フェリスが舞台の新作『空を駆ける』

気になってたが『らんたん』も要注目だ。

 

飛ぶ教室』が紹介したんで即買いして

レビュー予告までしてたが、正直言うと

難しくって序盤で挫折したままだったわ。

 

コチラさんのレビューで思い出したんで

再挑戦したら中盤以降はスラスラいけた。

 

最初は特に難しいが後半は読みやすいし

子どもは第二部から読むといいかもな

 

恵泉女学園の創立メンバーの話なんだが

教科書に載ってる人や伝統ある名門校が

出まくりなんで、楽しみながら学べたよ。

 

そんで、女子校いいじゃんって感じたわ。

あったかエピソードがありまくるからよ。

 

俺のレビューの真ん中あたりはこんなだ。

 

津田梅子をはじめとした著名人の活躍にも思い切って頁を割いているので、歴史の勉強にもなりそう。しかも、幸せを分け合うことの尊さを説くエピソードも多く、規範となる振る舞いまで学べてしまいます。

 

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恵泉生たちが散歩ひもをつけて連れ歩くワニは地元の名物に!

 

なんてステキな反抗期『あした、弁当を作る。』(ひこ・田中)

「いや、すげー、すげーよ、お前。反抗が弁当作りっていう、斜め上の発想がすごいよ。自分で弁当作る反抗期なんて、オレには絶対に思いつけない」(本文より、主人公の友人の言葉)

 

頻出ではないが、たまに出題されてきた

ひこ・田中来月9日発売予定の新作だ。

 

反抗期って普通は親の世話になりながら

いっちょ前に反発だけはするもんだろ?

 

どっこいこの本の主人公は一味違うワケ。

親よりむしろ頼もしい感じなんだもんよ。

 

ま、あんま詳しいことは書けないけどな。

 

出題されそうな箇所はそう多くはないが

学校の仲良し4人組の会話は狙い目かな。

 

俺のレビュー(前半)は以下に付けとく。

 

主人公は心優しい中1男子。ねっとり息子に構いたい母と高圧的すぎる父がいる家で、思春期の彼が一風変わった反抗を試みるという物語です。読んでいるこちらまでゾワっと寒気がしてしまいそうな家庭環境ですね。それにあらがう主人公の健やかさには心を洗われる思いでした。

 

『あした、弁当を作る。』|感想・レビュー

 

インパクト全振りの装画(NetGalleyにて読了)

 

攻める高校受験を描く『つる子さんからの奨学金』(まはら 三桃)

もっと成績をあげたい。わかばは自分の中に芽生えた感情を、抱きしめるように感じ取った。(本文より)

 

来月22日発売予定の頻出作家の新作だ。

先に読ませて貰えたんでレビューするわ。

 

受験生の葛藤がよく描かれてる作品だな。

 

親との方向性の違いだとかスランプとか

友人関係に起きる変化など盛りだくさん。

さらにジェンダー問題まで絡めてくるし。

 

先生の描かれ方はとくに素晴らしい感じ。

 

この著者の最近2年間の作品のなかでは

最も出題されそうな雰囲気がある印象だ

 

百人中百人が予想しないであろう展開は、

ちょっと好みが別れそうなトコだけどな。

 

俺のレビューの感想の部分は以下の通り。

 

これは予想できなかった!まさに息をのむような展開ですね。中盤の親子の衝突シーンは、子どもだけでなく親世代も読んだほうがいいように感じました。最も印象に残ったのは終盤の先生とボールを打ち合うシーン。あの決意の場面にはこれ以上ないと思うほどのフィット感があって、このやり取りだけでも読んだ甲斐があったと感じましたよ。

 

『つる子さんからの奨学金』|感想・レビュー

 

悩める受験生をよく表した装画(NetGalleyにて読了)

 

出題されるかもしれない新刊本(2023年2月前後)

今年の2月あたりは再び豊作のシーズン。


これから読む作品が多いんで中学入試に

向かない作品もたぶん混じってるんだが

ひさびさに豪華ラインナップになってる。

 

『だれもみえない教室で』(工藤 純子)1/26発売

『放課後の読書クラブ』(小手鞠 るい)1/30発売

『雪の日にライオンを見に行く』(志津 栄子)2/1発売

『バスを降りたら』(眞島 めいり)2/7発売

『あした、弁当を作る。』(ひこ・田中)2/9発売

『つる子さんからの奨学金』(まはら 三桃)2/22発売

『神無島のウラ』(あさの あつこ)2/24発売

『金色の羽で飛べ』(高田 由紀子)3/20発売


『雪の日にライオン~』は、ちゅうでん

児童文学賞の大賞作品なのでリスト入り。

 

『バスを~』はそこそこ出題実績がある

作家が描く中学生活にスゲー興味あるわ。


『あした~』と『つる子さん~』は既に

読み終わっていて発売前にレビュー予定。


『神無島~』は離島の小中学校が舞台だ。

頻出作家が描く教師像にも興味津々だよ。

 

ま、こんなの鵜呑みにして買うなよな?

 

かなり期待できそうな新刊本(2/7発売予定)

 

発売済みで今後レビューしたい新作

『空を駆ける』(梶 よう子)

『らんたん』(柚木 麻子)

『流れる星をつかまえに』(吉川 トリコ)

『青の刀匠』(天沢 夏月)

『イコ トラベリング 1948-』(角野 栄子)