中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

何より怖いのは人の心かもしれない『夜叉神川』(安東 みきえ)

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入試で出題実績がある作家

飛ぶ教室で紹介された新作。

人の心に棲む闇を描いた短編集だ。

 

特にインパクトがあったのは実話が

元になってる『果ての浜』って話だわ。

子供たちを襲う悲劇が描かれてんだよな。

 

その史実をまとめるとこんな感じになるわ。

 

大戦末期、沖縄の波照間島では軍命で西表島への強制疎開が行われました。しかし移住先の西表島は当時、住むには適さないマラリアの汚染地帯だったのです。そこで島民たちは、子どもも含めほぼ全員がマラリアに感染し、三分の一が死に至るという悲劇に見舞われたのでした。

(以上、短編『果ての浜』の元ネタを要約)

 

あまり描かれてこなかったタイプの話だろ?

 

まぁ、怪談っぽい作品が多い短編集だし

受験対策ならスノードロップだけ

目を通しとくってのもアリかもな?

 

嫌われ者の偏屈なおじいさんと

少年の心の交流を描いてるし、

結構狙い目っぽいんだよな。

 

塾帰りの少年は河原のベンチにいるおじいさんと犬を見つけます。雪が舞うなか、犬は必死におじいさんを動かそうとしていますが、おじいさんは立ち上ろうとはしません。「凍え死んじゃいますよ?」たまらず声をかけた少年に返ってきたのは意外な言葉でした。

(以上、短編『スノードロップ』の中盤を要約)

 

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『夜叉神川』(安東 みきえ/講談社)所収の短編『スノードロップ