中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

麻布で待ってる!『御三家ウォーズ』(佐野 倫子)

鉛筆一本で、人生を変えるんだ。麻布で待ってるよ。(本文より)

 

前記事紹介の『天現寺ウォーズ』収録作。

この本で最大のウエイトを占めてるのが

中学受験編にあたる『御三家ウォーズ』

 

勉強が苦手な母親が高い目標をかかげる

息子のために死に物狂いで伴走する話だ。

 

元・塾講師だという叔母のアドバイス

いちいち適切だから得るものがあるな~。

 

とくに、伸びしろを出し切らせることに

疑問を投げかけるくだりは共感度MAX

 

芯のしっかりした息子も応援したくなる。

これは思わぬ拾い物だ!と俺は感じたね。

 

一流作家の妙技とはちょっとちがうけど

当事者を惹きこめるエモさは確かにある

 

この先生は年明けにお子さんの受験だし

乗り越えたらさらに凄いものが書けそう。

 

俺のアマゾンレビューの後半はこんなだ。

 

なんと巻末には、おおたとしまささんが明らかに本作をメチャメチャ読み込んだとわかる解説を付けてくれていています。

これがまた金言がギューっと詰まっていて読んでいて嬉しくなりましたよ。

はっきり言いってしまうと、本作は文学的には一線級の小説家に太刀打ちできるものではないだろうと思います。

それでも、ここで語られているように多くの人の心を動かすことができたのはひとえに綴られるエピソードが魅力的だから。

覚えのある感情の起伏、わかりすぎる葛藤、そして、どこかで見た情景などが思い起こされ、私も、何度も何度も心を揺さぶられました。

小学校・中学校受験に少しでも関わった人には特に刺さるものが多い一冊になると思います。

 

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『中学受験ウォーズ 君と私が選んだ未来』(佐野 倫子)