中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

名門校で芽生えた友情『空をこえて七星のかなた』(加納 朋子)

どうしても中学受験を成功させたかった私は、正直に申告することを決めた。その下心の報いがこれなら、あんまりだと思う。(短編『星の子』の本文より)

 

入試出題実績はなさそうな著者であるが、

『飛ぶ教室』で紹介されてたんで読んだ。

 

ある宇宙飛行士に関わった人々の物語だ。

ミステリの叙述トリックが使われてるが、

おもに描かれてるのは家族愛や友情だわ。 

 

7編の連作短編の主人公はすべて子ども。

 

使えそうな短編が多いが1つだけ選ぶと、

中1女子の友情を描く『星の子』だろう。

学校で浮く2人が仲を深めてく筋書きだ。

 

次に使えそうなのは事故で大怪我をした

小4女子の葛藤を描く『星は、すばる』

 

中受合格後の小6を描く1話目もあるし、

どれかに絞るのが難しいところだけどな。

 

文章の難易度「やや難」、テーマ注目度

「〇」、飛ぶ教室紹介は「◎」、素材の

使い勝手は「〇」として、12月に作る

出典予想最終版では20位以内の想定だ。

 

以下は俺の書いたレビューの最初の部分。

 

小学生から高校生までの子どもが主人公という連作短編集。人を巻き込む力が抜群の一人を軸として、散りばめられた宇宙にまつわる話が、ラストで一つに繋がっていく展開が鮮やかです。

 

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『空をこえて七星のかなた』(加納朋子/集英社

 

読ませる『七星』、『きみ鐘』は二月の勝者っぽい?

かなり話題性のある新作に気づいたんで、

レビュー予定作品を3冊ばかし追加する。

 

『空をこえて七星のかなた』(加納 朋子)

  2022/5/26発売済み

季刊『飛ぶ教室』最新号で紹介された本。

オモロそうなんで思わず衝動買いしたわ。

6年女子が主人公の章は読み終わってて

いまは4年女子の章を読んでるところだ。

早速いくつか素材にしやすい箇所を発見

 

『空をこえて七星のかなた』(加納朋子/集英社

 

『マスク越しのおはよう』(山本 悦子)

  2022/9/29発売済み

低・中学年向け児童書が多い大物作家が

コロナ禍の中学生達を描く期待の新作だ。

 

『マスク越しのおはよう』(山本悦子/講談社

 

『きみの鐘が鳴る』(尾崎 英子)

  2022/11/9発売予定

中受出題レベルにピッタリな作品の多い

ティーンズベストセレクションズの新作。

4人の中学受験生の戦いぶりを描いてて

紹介文を読んでると結構期待しちまうな。

島津君や直江さんっぽい子も出てくる?

 

中学受験に挑む6年生たち。かけた時間や熱量は、必ずきみを強くする。(本の紹介【公式】より一部抜粋)

 

『きみの鐘が鳴る』(尾崎英子/ポプラ社

 

たぶん、先生は気づけない『星屑すぴりっと』(林 けんじろう)

大半の学校が出題作を決定済みであろう、

8/25という際どい時期に出た新作だ。

 

前にレビュー予告しておいた本なんだが、

鉄人会の出題予想にも入り注目度上昇中。

 

新人の登竜門といえる講談社の児童文学

新人賞で佳作だが大賞レベルの面白さだ

 

佳作はあんまし出題されたことがない

さて、作問者はこの作品に気づけるか?

 

文章の難易度「普通」、テーマの注目度

「〇」、素材の使い勝手は「無印」かな。

 

尾道弁と大阪弁の掛け合いがいいんだが、

この方言がネックになる気もするんだわ。

 

12月に作る予定の出典予想最終版では

30~32位あたりにランクインしそう。

 

俺の激賞レビューの書き出しはこんなだ。

 

優しさあふれる物語ですね。主人公は大それたまねなどしたことがない中学生男子。難病で臥したままのいとこが見たいとつぶやいた映画とは何なのか?一風変わった連れとタッグを組んだ主人公が、その作品を探し求め”一か八かの大勝負”に出ます。

 

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『星屑すぴりっと』(林 けんじろう/講談社

 

しとしと、しとしと、胸に迫る『雨の日が好きな人』(佐藤 まどか)

ウソでも笑っていると、だんだん本当に気分が良くなってくる。小さいころから、そうやって嫌なことを乗り越えてきた。(本文より)

 

そこそこ入試に出る作家の10月の新作。

9月以降発売の本は来年の表に使うんで、

2023年入試の出典予想には入れない。

 

試験で凄く使われそうだとは思わないが、

平易なので佐藤まどか入門によさそうだ

 

体が丈夫なのがとりえという小6女子に、

家庭の事情で病弱な姉ができるって話だ。

 

ほんわか姉妹愛が微笑ましい部分もある。

まぁ、病状は笑いごとじゃないわけだが。

 

姉との出会いで、学校や家庭での生活に

どんな変化が起きるかに要注目だろうな。

 

俺のブックレビュー(前半)はこれだわ。

 

母の再婚で、生まれてからずっと病院で暮らすという姉ができた小6女子が主人公です。会わせてもらえない姉のために構われることが減りモヤモヤしていた彼女でしたが、勝手に行った入院先では思ってもみない体験をするのでした。

 

『雨の日が好きな人』|感想・レビュー・試し読み - 読書メーター (bookmeter.com)

 

NetGalleyにて読了

 

”繊細な海賊”が使えそうな『日向丘中学校カウンセラー室 十人十色、1匹?色の文化祭』(まはら 三桃)

カウンセラー室の中にいるよりも、ずっと大変でした。問題は、むしろ外の方にあるんですね。(本文より)

 

少し前まで頻出だった作家の7月の新作。

シリーズ2作目だが、前作は俺が珍しく

酷評するほど雑なストーリー展開だった

 

今作は先に読んだ娘にうっかり「その本

つまんなかったでしょ」と言ったところ

傷ついてたので気合を入れて読んでみた。

 

そりゃないでしょって部分はなかったし

前作とくらべたら全然いいんじゃねーの。

確かに女の子が喜びそうなストーリーだ。

 

出題には1話目あたりが丸ごと使えそう。

5分で読めるし最初だけでも見とけば?

 

文章の難易度「平易」、テーマの注目度

「無印」、素材の使い勝手「〇」として

出典予想最終版では28~30位近辺か。

 

以下が俺のレビューの始めのほうになる。

 

スクールカウンセラーが主人公のシリーズ2作目。大したことはできなくても、せめて気持ちの落ち着く場所はつくりたい。そんな願いを抱き、子供たちに暖かい眼差しを向ける彼女が、文化祭の日に遭遇するちょっとした驚きの数々を描いています。

 

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『日向丘中学校カウンセラー室 十人十色、1匹?色の文化祭』(まはら三桃/アリス館)

 

出題が予想される物語文『宙ごはん』(町田 その子)

自分が作ったもので、誰かと気持ちのいい時間を過ごせる、それはすごいことなのだ。そして多分、とても大事なことでもある。(本文より)

 

2021年本屋大賞作家の5月の新作だ。

 

出題実績のない著者だと思うが心温まる

ストーリーが評判なんでチェックしたわ。

 

出題作選ぶ時期にあんだけ目立ってれば、

作問者が手にしてもおかしくないからよ、

俺にしてはめずらしく買っておいた本だ。

 

ちなみに、中受鉄人会の出題予想にある

『夜に星を放つ』本当に出るだろうが

図書館の予約が一杯で買う予定もない為

俺んとこでのレビューはしない予定だわ。

 

『宙ごはん』は長い期間の少女を描くが、

第2話の小6、第3話の中3だけでなく、

第4~5話の高校生パートも外せないな。

 

文章の難易度「難しい」、テーマ注目度

「〇」、素材の使い勝手「〇」ってトコ。

 

12月に作る予定の出典予想最終版では

たぶん20~22位あたりになるだろう。

 

俺のレビューの前半はこんな感じっすよ。

 

食を大切にする気持ちが芽生えそうな作品ですね。主人公は大人の事情に振り回される少女。あたり前の幸せを知らずに育った彼女が、産みの母の元で暮らすことになり、傷つき、もがきながら自分の生きる道を探し求めます。

 

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『宙ごはん』(町田その子/小学館

 

未知なる現実にふれて『手で見るぼくの世界は』(樫崎 茜)

いつも言ってるが中学受験できるような

恵まれた家庭の子には想像しづらい貧困・

障碍などを描いた作品は名門校で頻出だ

 

ここから学校が求めている人物像が解る。

 

様々な問題を自分の世界と地続きと捉え、

想像を働かせ、他人を思いやれる子ども

 

培った能力を自分のためだけだけでなく

社会の発展に寄与するために活かせる人。

 

これこそが名門校が求める人物像だろう。

 

となりゃあ『手で見るぼくの世界は』

視覚支援学校が舞台だし良素材かもな?

 

刊行は来月14日だがネットギャリーで

発売前の本のゲラを読ませてもらえたわ

 

驚いた、出題に使える箇所がありすぎる

 

同級生達との語らいや外出シーンだとか、

動植物の観察の授業の一コマであるとか、

歩行訓練士との驚くようなやり取りとか、

少年の決断シーン、少女の決断シーンも。

 

視覚障碍の主人公の葛藤は大人にも新鮮

子どもにはより多くの気づきがある筈だ

 

今回もレビュー前半を以下に載せとくよ。

 

視覚支援学校の中1男子が主人公です。唯一の同志だった少女が不登校になり途方に暮れていた彼が、新しい級友たちと出会い、絆を深め合いながら、心に決めた目標のためにもがくさまを描いています。

 

『手で見るぼくの世界は』感想・レビュー

 

NetGalleyにて読了