中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

ままならない少女たち『どうしようもなく辛かったよ』(朝霧 咲)

道徳的な正しさは、所詮他人事の時だけまかり通るのだ。(本文より)

 

受験勉強しながら高3で小説現代新人賞

で、今は京大生ってこりゃまたスゲーな。

 

今回の紹介作品は9月発売のデビュー作。

中学のバレー部員たちを描く短編集だわ。

 

さわやかとは対極にある展開なんだけど

読者を惹き込む力はハンパじゃない感じ

名のある賞をとったのはダテじゃないな。

 

ただ、素材文適性はさほど高くなさそう。

作問者が嫌がりそうな要素もあるからな。

特に先生達をナメすぎてる部分はヤバイ。

 

強いて出題によさそうな部分を挙げると

少年との対話シーンあたりになるかね?

 

少年が絡む素材によさげな場面2つ

愛美の章 ○ 公園で少年の苦悩を聞く

真希の章 △ 放言に思わぬ反応で驚く

 

ま、この本も作問者が気づきにくいか?

 

以下は俺のレビューの前半部分になるよ。

 

とびっきり仲がよさそうに見える女子バレー部。その内幕は想像を絶する危うさを孕んでいました。

中学生のむき出しの感情がグサグサ刺さる連作短編集ですね。

視点が変わるごとにメンバーの人物像がクリアになっていくのですが、後半では心の奥底で蠢くものに戦慄さえ覚えました。

 

『どうしようもなく辛かったよ』感想・レビュー

 

黒光りする青春小説(2023/9発売)