中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

2023-01-01から1ヶ月間の記事一覧

胸を張って入学することの効果『令和の中学受験2 志望校選びの参考書』(矢野 耕平)

心構えに力点を置いた前作も良かったが 今作は各校の具体的な取組みがたっぷり。 ◎ 本書で特集が組まれていた学校 浦和明の星女子、吉祥女子、都市大等々力、本郷、普連土学園、桐朋、頌栄女子学院、不二聖心女子学院、金沢学院大附属 ◎ 本書で扱いが大きか…

女子校イイネ!と思わせてくれる『らんたん』(柚月 麻子)

学園だけは楽しくしましょうよ。どんな時でも、そこだけは守りましょうよ。それが私たちにできる真剣な戦いのやり方です。(戦時下の恵泉普通部を描いたくだりより) フェリスが舞台の新作『空を駆ける』も 気になってたが『らんたん』も要注目だ。 『飛ぶ教…

なんてステキな反抗期『あした、弁当を作る。』(ひこ・田中)

「いや、すげー、すげーよ、お前。反抗が弁当作りっていう、斜め上の発想がすごいよ。自分で弁当作る反抗期なんて、オレには絶対に思いつけない」(本文より、主人公の友人の言葉) 頻出ではないが、たまに出題されてきた ひこ・田中の来月9日発売予定の新…

攻める高校受験を描く『つる子さんからの奨学金』(まはら 三桃)

もっと成績をあげたい。わかばは自分の中に芽生えた感情を、抱きしめるように感じ取った。(本文より) 来月22日発売予定の頻出作家の新作だ。 先に読ませて貰えたんでレビューするわ。 受験生の葛藤がよく描かれてる作品だな。 親との方向性の違いだとか…

出題されるかもしれない新刊本(2023年2月前後)

今年の2月あたりは再び豊作のシーズン。 これから読む作品が多いんで中学入試に 向かない作品もたぶん混じってるんだが ひさびさに豪華ラインナップになってる。 『だれもみえない教室で』(工藤 純子)1/26発売 『放課後の読書クラブ』(小手鞠 るい)1/30…

弓道の魅力たっぷりの『凜として弓を引く』(碧野 圭)

毎年この時期は大学弓道の圧倒的強者が 気の緩みの蔓延で惨敗した話を書いてる。 精神を鍛えまくってる大人に近い連中も ちょっとした油断で自滅しちまうんだな。 ま、気を引き締めてこうってことですわ。 さて、今回の作品は2021年9月発売。 弓道モノ…

【本気レポート】私らしく、いられる場所へ ~或る元サピ女子の再起~

「第一志望を目指す彼を全力で支え、合格を祈っていた頃が一番幸せだった。」 喜びを爆発させた合格発表から1年もしないうちに、こう言い残してネットから消えたSNSユーザーがいました。 同居親の介護という重いミッションをこなしながらの伴走、大金星。け…

サクサク、サクセス? 栄東

すべり止めの星とか言われることのある 栄東なんだが、かなりいい校風らしいな。 売り出し中の進学校って勉強少年院的な イメージなのかと勝手に思ってたけどよ、 中の人の話によりゃあ全然ちがうらしい。 通える距離なら本気で考えていいかもな。 いち併願…

小さな事件を追いかけて『ひみつの犬』(岩瀬 成子)

「人が自分の弱い心と闘っているときに、それを笑っていいはずがないじゃない」(本文より) たまに入試に出る作家の10月の新作だ。 絶対の正しさなんてないと教えてくれる 作品なんだが、平易で読みやすいだろう。 前半は人間関係の不協和音がギッシギシ…

優しくて、せつない『黄色い夏の日』(高楼 方子)

まれに入試で使われることのある作家の 2021年9月に発売された作品ですわ。 この作家は『時計坂の家』が超お勧めだ。 今作は主人公が不思議な空間に行く点で 『時計坂の家』に少しは似ているかもな。 読めば終盤のあたりで切なくなるだろう。 俺のレビ…