中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

私は上手に笑えない『ちゃっけがいる移動図書館』(髙森 美由紀)

自分にはないものを得るための努力に、ゴールはあるのか。考えると深い穴に落ちていきそうになる。(本文より)

 

登場人物に自分を重ねることあるよな?


そうなると作中の世界により入り込める。

 

俺はこの作品の上手に笑えない主人公に

メチャメチャ共感しちまったんだよな~。

 

わりと入試に出る作家のお仕事小説だよ。

 

面白いことが何もないと思ってた女性が

ワンちゃんとの交流で活力をもらう話だ。

 

ハートウォーミングな筋書きが魅力だし

心が疲れている人には特に沁みるだろう。

 

大人向けだけど素材文適性は意外に高い。

 

移動図書館の訪問先で出会う少年達との

交流シーンなどが使いやすそうだったよ。

 

問題文に使いやすそうなパート

一章○クレーマー老人に幼い兄弟が接近

二章○からかわれてる少年に転機の兆し

三章△猫おじさんいじめられっ子に助言

四章◎心を病んだ前任者との慎重な対話

 

ま、選書シーズン末期の8月20日発売

なのであちこちで出ることはないかもな。

 

マイレビューをまとめるとこんな感じに。

 

主人公は図書館の非正規職員。

無気力に日々を過ごしていた彼女が、衰弱した子犬を預かり、ともに暮らすなかで、新たな活力をもらうというストーリーです。

死にかけだったワンちゃんが、職場のマスコットのようになっていく流れには、目尻が下がりっぱなしでした。

同僚のオトボケ男との会話も楽しさ満点。

最も響いたのは、終盤の慎重に言葉を選びながら前任者と向き合うシーンですね。

散歩の思わぬ効用が描かれていたのも良かった!

視野を広げ、身近にあるものの素晴らしさに気づかせてくれる作品でしたよ。

 

『ちゃっけがいる移動図書館 』感想・レビュー

 

表情の硬い主人公がみせる面白さ(2024/8発売)