中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

2023-02-01から1ヶ月間の記事一覧

復讐の中学受験『すべてあなたのためだから』(武内 昌美)

お母さん。小学校生活を、勉強一色にしないでください。勉強さえ出来れば良いという考え方を、させないでください。(本文より) 親のエゴが暴れ狂う点で他を圧倒する本。 これは中学入試に出ることはまずないし、 『翼の翼』と同様に子供に見せたらダメ。 …

尊敬できる人にめぐり逢う『バスを降りたら』(眞島 めいり)

附属中の結果が出たとき、俺も母さんも、がっかりしたような態度を律に見せちゃったよな。あれはほんとにダメだった。すごく後悔してる。(本文より) 過去2作品とも出題された作家の新作だ。 今までより少し易しいのでどのレベルの 学校で素材文になっても…

教科書にないけど大切なこと『きみの話を聞かせてくれよ』(村上 雅郁)

世の中に「素直ないい子」なんて生きものが存在するはずがない。もし、そう見える子がいるのであれば、その子はなにかしらの抑圧を抱えている。(本文より) 発売日はちょっと先で4月7日の予定だ。 これまで地味に出題されてきた作家だが、 今度の新作は派…

活力を分けてくれそうな『シタマチ・レイクサイド・ロード』 (濱野 京子)

自分ができないと思っていることを、他人からお前ならできると言われるのも、けっこう傷つくことだと悟った。(本文より) たまに出題される作家の来月発売の新作。 進学校の文芸部員を描いた作品なんだが、 出題しやすそうな箇所がやたらに多いよ。 素材の…

中受小説『ギフテッド』『すべてあなたのためだから』の話題など

親世代向けで出題とは無縁っぽいんだが、 今気になってる中学受験小説がこの2つ。 2022/11/24発売 『ギフテッド』(藤野 恵美) 藤野恵美は中学入試でもたまに出る作家。 挫折エリートが発達凸凹系だという姪の 中学受験に伴走する筋書きのようですわ。 202…

打ちのめされたときに読みたい『青の刀匠』(天沢 夏月)

人の痛みを知ることは難しい。その傷が深ければ深いほど、簡単にわかったような顔をされるのも癪だし、かといって理解されない孤独もまた苦痛なのだ。(本文より) 突然どん底にまで突き落とされた少年が 絶望の淵でもがく様に釘付けになったわ。 『青の祓魔…

大切な人を、より大切にしたくなる『天国からの宅配便 あの人からの贈り物』(柊 サナカ)

先月の栄東で出題された物語文の続編だ。 4つの短編はどれも面白くてお勧めだが 特に小5女子が主人公になる話がいいよ。 『七十八年目の手紙』は曾祖母に届いた 古い友人の手紙のために少女が奔走する。 様々な国の人の優しさに触れ、助けられ、 感謝を伝…

出題されるかもしれない新刊本(2023年3月前後)

これから明るみになるのもあると思うが、 3月前後の新作で目に留まったのは以下。 2/15発売 『ゆうべの食卓』(角田 光代) ほどよく短く手軽に楽しめそうな11編。 2/22発売 ☆ 先行レビュー済み ☆ 『つる子さんからの奨学金』(まはら 三桃) 久しぶりに…

ちゅうでんにハズレなし『雪の日にライオンを見に行く』(志津 栄子)

そういうやつがおってもええ。みんなは思っているのかもしれないけど、唯人はそんな自分のことが好きじゃなかった。(本文より) ちゅうでん児童文学賞の大賞作品ですわ。 引っ込み思案の少年が自分の殻を破る話。 一言で言っちまうとこんなストーリーだ。 …

出題作とは毛色が異なる『白ゆき紅ばら』(寺地 はるな)

「ちゃんと自立したいんです。わたし、自分の人生ってやつを手に入れたいんです」(本文より) 2023年入試で多数出題されたことで、 再び注目を集めている作家の最新作だわ。 もうじき発売なんで今回は先行レビュー。 反面教師から教育の大切さを知る意…

麻布、渋渋、明の星、さすがの選書『タイムマシンに乗れないぼくたち』(寺地 はるな)

『タイムマシンに乗れないぼくたち』(寺地 はるな/文藝春秋) 誰かと同じ空間にいても、人間は簡単に「ひとり」になるものだと、こんなふうになるずっと前から知っていた。(本文より) 去年も感じたが、麻布はいい本選ぶな~。 こんな素材出すなんて流石だ…

2023年度中学入試の国語出典(紹介作品からの出題・第一報) 

2023年組は悲喜こもごもだろうな? 直前期の何も手につかなくなる感覚とか、 終了後の何もする気がなくなる感覚とか、 心がカラッポになる気持ち、わかるな~。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ まだ一部の学校しか確認できてないんで、 これから増えてくんだろうが…