中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

尊敬される生き方『さよなら校長先生』(瀧羽 麻子)

時折、胸の内で燃えさかる感動を、誰かに伝えたくてたまらなくなる。(本文より)


主人公は9歳女子から60代男性までの

6人という実に色とりどりな連作短編集。


入試でおなじみの作家の12月の新作だ。


尊敬される教育者だった先生と関わった

人々の視点で故人の解像度を上げていく。


あくまで子ども第一という出発点で考え

しなやかに現実に落とし込んでいこうと

考え行動する先生の姿が印象的だったよ。


素材文適性は1章、6章、5章の順かな。


問題文にしやすそうなくだり

1章◎小3男子の学校トラブルに神対応

6章〇小5男子のその後を変える出来事

5章〇小3女子の後ろめたさを受容する

6章△教育実習生の勇み足への言葉掛け


まぁ、使い勝手は最高だがタイトル的に

校長の部下の立場では選びにくいかも?


やや難だがどのレベルの学校でもいける

この作品の感想後半パートはこんな感じ。

 

教師モノってたまに、過度な熱血で本物の先生が読んだら怒りそうなのを見かけますが、この作品は大丈夫。

自信を持って先生方にも薦められる逸品です。

特に教師の視点でその道への原点が語られる『深呼吸』。

これは子どもと向き合うにあたっての大原則がじんじん沁みる作品でした。

故人の意外すぎる一面が垣間見える『うちわ』、立派な教育者とて思い通りの子育てをできないものとわかる『スーツ』も素敵。

自分の気持ちを大切にという『こんぺいとう』、トラブルに神対応をみせる『コンパス』も外せないですね。

『連絡帳』の「もう少し本人の力を信じてみては?」という趣旨の言葉も心に残りましたよ。

結論、全部良い。

 

『さよなら校長先生』感想・レビュー

 

なんたる訴求力!(2024/12発売)

 

いやいや入った学習塾は、いざ通ってみると思いのほか楽しかった。考えてみれば、当然だった。(本文より、ある教師の回想)