中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

先入観をぶっ飛ばせ『いつか、あの博物館で。: アンドロイドと不気味の谷』(朝比奈 あすか)

人間みたいに行動して人間みたいに会話できるようになったら、そのアンドロイドは人間と何が違うというのだろう。(本文より)

 

人間に似せるよう作ったモノの好感度は

リアルなほど上がるんだが、ある水準を

越えると不気味って声が増えるんだって。

 

その境界線を不気味の谷って呼ぶそうだ。

 

さて、7月の最注目作品の紹介をするよ。

著者は中学受験界隈では知られてるよな。

 

サブタイトルがちょっと紛らわしいけど

ロボットが出てくる冒険小説じゃないよ。

 

個性がバラバラな中学生4人の群像劇だ。

博物館でのユニークな体験に感化されて

彼らが人間らしさを見つめ直していく話。

 

当初は想像もしなかったようなところに

太い絆が生まれたりする展開がいいよ~。

それは友達関係だけでなく家族でもそう。

 

中学生の話だが彼らの心情が判りやすく

描かれているので小学生でも十分読める。

 

素材に適した部分は結構多かった印象だ

 

中2のドッヂパートは特によさそうだし、

回想のダンスパートなんかも使えるかな。

中3の進路に悩むパートもよさげだよ~。

 

人間同士の交流はわからないことだらけ。

まぁ、だからこそ面白いし、化学反応も

起きるし、成長にもつながるんだよな?

 

主人公の一人の終盤の気づきには要注目。

俺の長~いレビューを以下に付けておく。

 

インスピレーション溢れる物語でした。

 

たまたま校外学習で一緒になった男女4人の、中1から中3までの歩みを生き生きと描いた作品です。

性格も家庭環境も様々で、一見すると合いそうもなかった彼らの関係が、中学の3年間を通して面白いほどに変わっていきます。

 

彼らのうわべからは見えない葛藤には、胸に迫るものがありました。

お金のことで不安を抱えながら、家事や弟達の世話を担う少女の苦悩など、安穏と日々を過ごす子どもたちにぜひ見て欲しい!

 

中盤あたりまで、彼らの世界が非常に狭かったものが、進路を意識するあたりからラストにかけて激変しますね。

それぞれの内面が明るみになるくだりでは、私もグイグイ惹き込まれました。

 

ユニークな着想がさまざまな気づきに繋がる一冊。

大人から子どもまで、幅広い層に訴えるものがありますよ。

 

『いつか、あの博物館で。: アンドロイドと不気味の谷』感想・レビュー

 

あの人とは合わない、そんな予感はやがて・・・(7/1発売)

 

自分は他の人にはなれないから、他の人が抱えているものは分からないのだけれど、想像することくらいはできたのかもしれない。(本文より)