口車は時に、どんな車よりも遠い美しい場所まで運んでくれる。(本文より)
年の瀬なので、今年最も笑った本を紹介。
放送作家兼作家という著者の短編集だが
20編の過半数はSFテイストが濃いぃ。
想像力の暴走っぷりがものすごくってよ、
入試に出るかと言われればほぼNOだが
『私は万年筆になりたい』はアリかも?
戦争のどうしようもなさを味わえる話だ。
俺が苦境に立たされたのは『百番』だよ。
児童文学作家が右往左往するって話だが
読書でこんな目に遭ったのははじめてだ。
何があったのかはレビューで自白したよ。
え?
のっけから唖然。
口に合わなそうと思いつつ読んでいるうちに、止まれなくなっている自分に愕然。
クスっと笑える話だけでよかったのに、『百番』には大爆笑させられましたよ。
しかも電車の中でヒーヒー言っちゃって。
なんとか呼吸を整え、口元をキュッと締めて再びページを開いたら、また発作!
一回ツボっちゃうともうダメですね。
この作品は、目先を変えてみたい人や、本の楽しみを知っているつもりの人に推したい。
押し付けたい。
読んでるところを遠くから観察したい。
こんなぶっ飛んだレビュー書いたの初めてです。
平和への祈りが込められた『私は万年筆になりたい』のような深い作品もあって、自分の中からさまざまな感情が飛び出すのを楽しめましたよ。
ホラーテイストな『七年後』のゾワッとくる感じも新鮮。
おっさんカフェや『大崎駅でマッチョを追い返す』は、そのシュールな場面を想像してニヤリ。
終わってみればおなか一杯、大満足の一冊でしたよ。
この著者は児童文学との相性も抜群。
