今回、ほんと怖くて。世界が敵になったみたいな。(『もし、インターネットでいやな思いをしたら』の本文より)
人とのつながりこんなときはシリーズは
有名作家と新人の作品が詰まった短編集。
タイトルは最終話から来ていて寂しさが
テーマの作品集っていうわけじゃないよ。
所収の5篇は以下のラインナップですわ。
『もし、二次元の彼に恋をしてしまったら』(いとう みく)
『もし、インターネットでいやな思いをしたら』(吉野 万理子)
『もし、大切な人との別れが怖くなったら』(如月 かずさ)
『もし、黒い心をもてあましたら』(当原 珠樹)
『もし、自分の居場所がない気がしたら』(土野 寧々)
ベテランが凄いのは見慣れてたんだけど
新人もレベルが高くてオォ!ってなった。
土野先生は手練れ感がハンパなかったな。
瑞々しい感性、文章の弾みまくるリズム、
調和あるストーリーときてビックリだよ。
そのうち何かの賞とかで名前を見るかも。
中学受験生を描いた当原先生の短編では
受験しない子との気持ちの隔たりに共感。
素材文適性では如月先生がありそうかな。
あとは土野先生も少しあるかもしれない。
どちらも後半に問題文の香りがほんのり。
本作は全て平易で読みやすい作品ばかり。
以下、俺の一口メモの付いたレビューだ。
普遍的な悩みから独特の悩みまで、様々な心乱れる者たちを5人の作家が掘り下げる短編集です。
孤独を連想させるタイトルですが中身は多様。
[二次元]は少年の天然ぶりが突き抜けて楽しく、[ネット]では情報流出の怖さを思い知り、[別れ]の健やかな気持ちに胸を打たれ、[黒い心]では背筋が凍ると同時に自分自身の過ちを振り返って猛省しました。
驚かされたのは[居場所]。
思い込みから迷走する主人公の日々がスッと心に入り込む文体で描かれていて、しかもメチャメチャ読ませるんです。
土野先生の名前、覚えましたよ。

私、何年も受験に向けて努力してきたんだよ。みんなが遊んでるときも勉強してきたんだよ。(『もし、黒い心をもてあましたら』の本文より)