中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

壊れた日々にグッバイ『チャリを盗んで、夜明け』(黒川 裕子)

俺らは親ガチャに失敗して、腹減りまくってるわけ。(本文より)

 

あと4日ほどで書店に出回る作品の紹介。

最近わりと入試で見る作家の新作だよ~。

 

ぶっ壊れた家庭で生きるしかない少年の

日々を包み隠さず描き上げた凄い作品だ。

 

これは身近な世界がすべてになりがちな

子ども達の視野を広げてくれそうですわ。

ごく普通の家庭の子ほど効きそうな薬だ。

 

大人の俺も得るものが多い小説だったな。

 

ダメな親をストーリーで俯瞰したことで

襟を正さなきゃいけないと感じたもんよ。

 

難易度はいつもの分類でいえば普通相当。

 

目先を変えてみたい人にも推せる本作に

寄せた応援メッセージはこんな仕上がり。

 

深く考えずフツーに生きていると気づきにくい問題に、真正面から向き合った作品。

 

児童文学のテンプレとは異質の、もの凄い迫力に満ちた物語でした。

無自覚にぬるま湯に浸かっている人は、大変なショックを受けそうですね。

 

これは書く方も出す方も勇気が要ったはず!

 

主人公は、あまりの不幸に見舞われ、心が死んだ親の元で食い詰める中学生。

良心の呵責を打ち消し、生きるために何でもしてきた闇落ち少年が、出会いに恵まれ心の琴線に触れられて、光の差す方へ踏み出すストーリーです。

 

”境界を踏み越えないと食べていけない”

 

そんな人たちが今どれだけいるのか?

想像せずにいられませんでした。

 

作品では大人不信の子どもの前に、辛抱強く働きかける大人が現れますが、もしそうでなかったら・・・と考えると寒気がしましたよ。

 

これは、いいセンセがいたな~とか、NPOスタッフの熱意すごいな~で終わらせてはいけないですね。

 

現実に、一人の熱意や努力に頼らないセーフティーネットが必要だと、身にしみて感じました。

その周知拡充に貢献しうる「社会的意義のある文学作品だと思います。

 

さて、少々お堅いことを書きましたが、面白さという点でも大アリですね。

 

とくに少年のクラスメイト二人。

真面目ほっこりキャラは絶妙に笑えて、口悪女子との応酬も楽しさいっぱい。

会話のキャッチボールというか、ブン投げ合いなんて最高でしたよ!

 

一方で、何もかも諦めることで心が軽くなると少年が考えるくだりでは、胸をギュ~っと締め付けられました。

 

誰もが未来を選べるようにするために、大人としてどうあるべきなのか?

私も自分自身に問い続けていきます。

 

闇の深さを肌で感じられる(7/31発売予定)

 

泣きたくない。泣いたらよけいしんどい。泣いたって、誰も助けてくれへんから。(本文より)