中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

誰も奪えない光『星の教室』(髙田 郁)

教育を受けることは、そのひとの人生に希望の灯を点すことだ。(本文より)

 

長く親しまれそうな傑作が登場したわ~。

旧作をたまに入試で見る作家の新作だよ。

 

深~い事情があって夜間中学に入学した

生徒や周囲の人々の生き様が感動を誘う

学ぶことの尊さが直に伝わってくる話だ。

 

彼らの切実な学びへの渇望は衝撃だった。

 

物語の舞台になった2001年ごろには

義務教育を終えていない人が170万人、

一方で、夜間中学は全国にたった35校。

 

存在が知られていなかった面もあるけど、

全然ニーズに追いついてなかったんだな。

 

この作品が何かを変える契機になるかも

 

素材文適性は前半が特に高かった印象だ。

今回も少しばかりピックアップしてみた。

 

問題文に使えるかもしれないシーン

一章終盤〇微笑ましさいっぱいの名場面

二章中盤〇ふらついていた気持ちの変化

三章中盤〇なぜ学ぶのか?要諦にせまる

六章終盤△かなしい家族関係が動くとき

七章終盤〇苦手に向き合う主人公の躍動

終章中盤◎恩師からの夢へのアドバイス

 

関西弁がちょっとネックになるかもだが

新聞連載のような切り取りやすさがあり

選んだ文章に作問者の想いを込めやすい。

 

後半で少しギョッとするかもしれないが

そうそう見られないほどの優良素材だよ。

 

出題されるかなんて些末なこと関係なく

あらゆる層にプッシュしたくなる本だな。

 

本作の難易度はやや難といったレベル感。

以下にマイレビュー全文をブッ込んどく。

 

学びの機会を大切にしたくなる物語ですね。

 

主人公はいじめが元で中学を卒業できなかった19歳。

劣等感に染まり切っていた彼女が、夜の学び舎での出会いに恵まれ、自分も、人も、信じられる大人へと成長していきます。

 

ボロボロだった主人公の人生が優しさに包まれ、上向いてゆくストーリーが心地よかった~。

彼女の尊い目標、叶って欲しいです。

 

主人公だけでなく、夜間中学の出身も年代もバラバラな生徒たちが抱える葛藤には震えが来ました。

私がのほほんと享受してきた生活がどれだけ恵まれていたか、嫌というほど実感しましたよ。

学べることのありがたみや尊さが、彼らの歩みを通じて体の奥深くまで染みてきますね。

 

教育の意味をいま一度考えさせられる一冊。

学生から大人まで、幅広い層に薦めたいです!

 

戦争のかなしさも描かれる(2025/2発売)

 

『学び』とは、誰にも奪われないものを自分の中に蓄える、ということなのか。誰のためでもない、自分のために。(本文より)