中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

火宅のような家で『ほくほくおいも党』(上村 裕香)

宗教は教団への多額の献金などで異常性の証明ができるが、活動家は正義として社会に見られることが多いから理解されづらい。(本文より、党員二世たちの苦悩を抜粋)

 

先月発売された新人作家の興味深い作品。

ゆるいタイトルだけど中身はバッキバキ

 

野党政治家を志す親の元で生きる兄妹を

軸にして独特な家族の葛藤を描いた本だ。

 

子供の思想を当り前のように染めようと

圧をかける親の姿に苛立ちが募ったな~。


親を喜ばせたくて頑張る子にもフクザツ。

その歪みは成長するにつれて膨らみ・・

 

ま、良かれと思い考えを押し付けるのは

政治的な思想でなくてもある話だよな?

 

そういう意味で自戒を込めて親世代推奨。

 

素材文適性は青春小説色が濃い第三話が

この作品の中では際立って高い印象かな。

 

生徒会長選挙の映像制作を託された子が

候補者達の素顔に迫る中で多様性を知る

『和樹とファインダー』っていう話だよ。

 

面白さって点でも第三話が突出していた。

 

この短編集は小学生に見せづらいとこも

あるから親が事前に目を通すといいかも

 

難易度はやや難、以下がマイレビューだ。

 

これじゃあ、まるで酸素不足!

親の思想に歪められる人々の生き様に胸が苦しくなりました。

 

政治に熱心な活動家の子どもたちが多く登場する連作短編集です。

 

親に気に入られたくて積極的に染まる幼少期、世の中の壁を知る学齢期、成長するほどに思い知らされる家庭内と外のギャップがありありと描かれていて衝撃でした。

 

落選を重ねる政治狂の父親に対して、はじめは怒りしかありませんでしたが、だんだん背景が見えてきて微妙に共感するとともに、やり切れなくなりましたよ。

 

そんな中、とくに救いになり、そして笑えたのはいがぐり頭の野球部員のドタバタ。生徒会長を目指す少女がみせる圧巻の自己主張も魅力でしたね。さらに放送室のエピソード。

 

ラストとか最高でしかない!

 

本作は政治が主要な題材ですが、親の価値観に流される危うさという視点に広げてみれば、様々な歪みの可能性が想像できますね。

 

つまり、愛情のはき違えは決して対岸の火事じゃないのです。

 

その葛藤は海溝より深く(2025/7発売)

 

子どもは逃げらんないじゃん。わたしたちはお父さんと暮らしていくしかないじゃん。(本文より)