中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

互いを認め、高め合う『ふたりのマンガ線』(庭野 るう)

中学受験をするぼくとはちがう世界にいるんだって、勝手に線を引いていた。秘(ヒメル)にだけじゃない。だれに対してもそうだった。(本文より、錬磨の心情)

 

約3週間後に発売されることになってる

フレーベル館ものがたり新人賞大賞作品

 

この賞は村上雅郁先生も受賞されてるし

児童文学界隈では注目の賞と言えるよ~。

 

マンガ線は絵を強調したりスピード感を

加えたりする漫画独特の線のことらしい。

 

本作は誰もが持っている未知の可能性に

物語で気づかせてくれる素晴らしい本だ。

 

物語が進むほどに上がる高揚感だったり

自己主張の弱い少年の変化が刺さるよ~。

 

大人でこれだから10代ならもっと効く。

 

素材文適性についてはありそうに思った。

中学受験を抑圧と表現する側面もあるが

別にそれがすべてではないのでOKかと。

 

かつ道徳的要素が強めなので選びやすい。

 

中盤の二人が胸の内を明かし合う場面や

終盤の先生の語りがはいる場面なんかは

問題文の素材にどうだろうか?と感じた。

 

マンガ作りの基礎やその舞台裏がわかる

楽しさあふれる友情ストーリーの難度は

平易ゆえにとびっきり親しみやすいよ~

 

以下、レビューの全文バージョンになる。

 

「また退屈な一年が始まるんだ」

 

そんな冷めきった少年が、熱さほとばしる少年と出会い、未知の刺激を分け合ったすえに、よろこびに満ちた世界へ踏みだします。

 

待って、コレ楽しすぎるんですけど!

右肩上がりのワクワクでどうにかなりそう。

 

沈着悲観のレンマ、猪突楽観のヒメル、対照的な二人の六年生が生み出す物語に最初の1ページから夢中になれました。

まるで接点などなかった彼らの関係がどう変わるかには要注目ですよ~。

 

彼らの夢に寄り添う先生も超好き!

 

なにしろ導きっぷりが凄いの。

子どもたちの意見をちゃんと尊重するし、必要なときに実践的アドバイスをくれるし、こんな先生、学生時代に出逢いたかったです。

 

二人の視点が切り替わりつつ進むから、それぞれの内面が浮き彫りになって、物語に奥行きが生まれますね。

俯瞰する読者だけにわかる誤解には思わずハラハラしましたよ。


さらにはやさしさが沁みるのよ。

とくに母親へのまさかの頼みごとにグッと来た!

 

貧困について掘り下げる部分やセーフティネットに触れるところは、学び要素もありましたね。

 

さすがは文学賞作品。

読んでポイとはならない深みが詰まっています。

 

意外過ぎる先生の秘密とは?

中学受験はいったいどうなる?

ほんのり芽生える小6の恋の行方は?

 

ちょっとでも気になったらチェックしてみて!

 

弱点を補い合うような二人だからこそ辿り着けた境地。

ぜひその目に焼きつけてほしいと思います。

 

泣けるほどいい子たち(2026/1/23発売予定)

 

いつか、またなにか悪いことが起きたらと思うと、今でもときどき、こわくてたまらなくなる。でも、母ちゃんには絶対心配をかけたくないんだ。(本文より、秘(ヒメル)の心情)