中学受験と児童書と

「中学受験」と「児童書」について真面目に考え、気楽に吐き出す

あふれる思いを詩歌に乗せて『そこに言葉も浮かんでいた 文芸部』(おおぎやなぎ ちか)

小さい頃からピアノを習ってるあの子や、かっこよくサッカーボールを追いかけているあの子や、超がつく有名中学に合格したあの子と違って、へいへいぼんぼんなわたしは、この地面を地道に歩いていくしかない。(本文より)


創作者のこだわりの一端に触れられる本

まれに入試で見る作家の12月の新作だ。


自身をモブキャラと思っている女の子の

着実な成長ぶりには目頭が熱くなるよ~。


個性を大事にしつつ切磋琢磨するなどの

先輩が示す表現者の心構えも素晴らしい。


戦時中、時局に逆らって創作した人々の

魂の作品にも触れられていて尊いんだ~。


著者の平和への思いが刺さりまくったよ。


あえて俳句に季語を入れない無季派など

この作品で初めて知った話も多かったな。


例の分類で平易となり親しみやすい本作。

以下に俺のレビューの一部を持ってきた。

 

ビブリオバトルってこんなに気づきが溢れてるんだ!

本好きの熱い発表に耳を傾けることで、世界が広がる実感がありました。

主人公は入学したての中学生。

偶然に導かれ文芸部の戸をたたいた彼女が、変人ぞろいのあったかい場所で、自分を表現するよろこびに目覚めていきます。

大事なものなど何もなかった少女が、創作道に迷い込み、新しい気持ちを知り、自身を”特別”にしていく展開の爽やかさが沁みましたね。

とくに終盤はグッときたな~。

これ以上ないってほど綺麗な終幕なのに、彼女の物語の先を知りたくなるほどでしたよ。

合評(批評会)の意義につながる「ぼく達の作品は原石なんだ。磨かなければ輝かない」のような、創作に役立つ言葉もプカプカ浮かんでいました。

 

『こんな部活あります──そこに言葉も浮かんでいた 文芸部』感想・レビュー

 

終盤のビブリオバトルに注目!(2024/12発売)

 

自分のことを吐き出したら、もしかしたら、一歩前に進めるかも?何かが変わるかも?と思っていた。その手始めが今日だ。(本文より)